鉄道各社が趣向を凝らす、電車「方向幕」の秘密 小さなスペースで行き先をわかりやすく伝える
例えばJR常磐・快速線。上野発(我孫子経由)成田行きは、15両編成で運転される。しかし、我孫子―成田間のホームの有効長の関係から、我孫子駅で5両切り離され、残りの10両編成で、成田に向かうことになるのだ。そのため、103系時代の方向幕には上段に「我孫子」、下段に「成田」と表示されている。
かつての小田急線は、新宿―相模大野間で小田原線と江ノ島線の急行の併結運転が行われており、前面の行先表示には箱根湯本(小田原の場合もあり)と江ノ島の2つの終着駅が併記されていた。新宿駅での発車案内放送も、「ホーム分割案内板、Aを境に、相模大野から前6両が急行箱根湯本行き、後ろ4両が急行江ノ島行きとなります」と流れるように、日常的に分割の列車が走っていたのだ。もちろん、側面方向幕も6両と4両で、それぞれの行き先を表示していた。
最近では楽しさも追求
このように、視認性を重視し、工夫を凝らした方向幕を紹介したが、現代はLED電光式の行き先表示機が主流である。それゆえ、さまざまな表現ができるようになり、利用者によりわかりやすくなっている。
単に行き先を案内するためだけだったものが、最近では楽しさも追求できるようになっている。山手線では駅間を走る電車の後部の行先表示に、季節の草花が表示されており、四季折々の表示が楽しめる。
今後は行き先案内だけでなく、鉄道会社と利用者のコミュニケーションツールとしても、期待できるかもしれない。
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