鉄道各社が趣向を凝らす、電車「方向幕」の秘密 小さなスペースで行き先をわかりやすく伝える
名古屋市交通局が運営する名古屋市の地下鉄は、1957年に開業した東山線を皮切りに、名城線、名港線、鶴舞線、桜通線、上飯田線と次々と開業した。現在は87駅、6路線、総延長距離93.3kmを誇る巨大なネットワークとなった。
その中でも名城線は大曽根から栄、金山、新瑞橋、八事、本山を経て大曽根まで、名古屋の中心街を環状に結ぶ路線であり、市民の重要な足となっている。大曽根駅のホームで電車を待っていると、鮮やかなパープルのラインを巻いた電車が入線してくる。名城線は環状運転をしているので、行き先表示には「名城線」とだけ表記されているだろう。と、思ったらそうではなかった。表示していたのは「名城線(右回り)」。「ん!?右回り??」。
右回りとは「時計回り」に走る電車のことである。反対に「左回り」とは「反時計回り」に走る電車のことで、東京の山手線でいうところの「外回り・内回り」と同じ表現である。
名古屋市交通局・名古屋市営地下鉄に問い合わせをしたところ、「開業当初の名城線は1965年に、市役所―栄町(現・栄)間の部分開業であったために、現在のような表記はありませんでしたが、2004年に全線開業し、環状運転が開始されると、「右回り・左回り」の表記がつきました。地上を走る鉄道(東京の山手線)などは高架線であるため、目標となる建物(ランドマーク)を見ることができますが、地下に建設された名城線ではそれを見ることができません。したがって地下鉄路線図を思い描いていただき、時計回りを「右回り」、反時計回りを「左回り」と表現しました。」とのことだった。実に興味深い。
1つの列車に2つの行き先がある場合は?
1つの列車が2つの行き先を持つ場合がある。わかりやすく言うと、途中駅で分割や併合が行われる列車のことだ。営業距離が長く、支線を多く持つ鉄道会社に見られる。
しかしその多くは、切り離される車両を境に行き先も異なるため、行き先表示はそれぞれの終着駅名が書かれているのだが、これをわかりやすく、上下2段に表示をした例もある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら