現在のウクライナの立場を無視しているように見えるが、由紀夫氏は、民主党代表時代、日露協会の会長だった。だからロシア問題の専門家である。筆者に言わせれば、必ずしも大きく外れたことは言ってはおらず、理路整然とした意見を言っているように見える。
西側とまったく異なる、ロシアの世論
ところが、その意見にはあまり触れずにマスコミは「由紀夫氏は日本の国益を犯している」とか「元首相の身でありながら軽率である」とか「政界を引退したからには余計なことはするな」と、言いたい放題だ。
実弟の鳩山邦夫氏などは「兄貴は宇宙人だが、せめて人間に戻って欲しい」とか「(邦夫氏の日露協会会長の立場から言えば)兄貴は邪魔で迷惑だ」とか「最近は誰にも相手にされないから、マスコミの注目を受けるためにやっているのではないか」とまでいっていた。
しかも、クリミアの検事総長に就任した美人のナタリア・ポクロンスカヤ女史が登場することで、ワイドショーでは、格好の下ネタ風のニュースに仕立てることができる。
事の真偽は不明だが、由紀夫氏の面談に、わざわざ検事総長がお出ましになったとのおまけつきニュースもあった。
もっとも由紀夫氏もどこかで面識があるらしく、「僕は彼女のファンです」と、まあ「サービス精神」にあふれている。ただ欧米でもこの美人のニュースは取り上げられており、日本のマスコミは米国のニュースの「二番煎じ」で、残念ながら新鮮さに欠ける。
それはそうと、筆者は、前回のコラムでも触れた通り、2月の下旬にモスクワで資源会議があり、多くのロシア人の旧友と面談する機会があった。去年から続いているウクライナ紛争や欧米からの制裁問題について、ロシア人の立場過多の意見を聞く機会に恵まれた。
モスクワにおける、ロシア人の世論といえば次の通りだ。つまり、「ウクライナのポロシェンコ政権とは、米国が無理やりクーデターを起こさせて、裏で操っている傀儡政権である」。これがロシア人の一般的意見なのだ。
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