実際に村田製作所は技術流出を困難にする各種取り組みを継続してきた。MLCCの素材から工場の製造装置までほぼ自社開発である。さらに、これらの装置が外部に流出しても村田製作所と同じ製品は作れない。部材であるセラミックの焼成時の温度や時間管理は各現場をそれぞれ担う作業員にしかわからないうえ、そこから完成品にいたるまでの各工程間の調整を担う現場のマネジメント層がいなければ、同社が作り出す製品は生み出せない。
部材、装置、人にいたるまでそれぞれに独自のノウハウが注ぎ込まれてブラックボックス化されているため、一部の技術者が他社に移籍しようが、装置が奪われようが、同社がマネジメントするすべてのノウハウがなければ、製品や技術を模倣できない。
今回非難された増産投資はMLCCに使われるセラミックシートに関するもの。これまでも現地で生産されてきたが、情報流出などで大きな問題は起こっていない。一部の批判者は、台湾有事に際して同工場が接収され、技術が奪取されると懸念するが、経営首脳陣の過去の発言から読み取れるように競争力の核心にすぐさま関わるとは考えづらく、同社のノウハウやマネジメントなしで生産技術の水準を維持するのは困難だ。
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