「パクりまくる中国」に日本が勝てない深い事情 マネの放棄は「学びの放棄」と同意義である
「中国企業はコピーが上手い」
昔から言われてきたことだが、はっきり言って、この指摘は的を射ている。中国企業は、アメリカや日本の魅力的なビジネスをコピーして取り入れ、自らの成長に利用してきた。しかし、だからといって「中国はズルい」「評価に値しない」と言うのは的外れだ。
「パクる」ことは簡単なことではない
そもそも「他社のビジネスをコピーして成功する」のは、そう簡単な行為ではない。まず日常的に、世界中の同業・他業種のビジネスについて情報収集しておく必要がある。そうして、優れたビジネスを発見したら、即座に「どこが優れているのか」、「なぜその特長は実現できたのか」を分析する。
自社ビジネスと組み合わせられる特長を見つけたら、自社に取り入れる意思決定を迅速に行い、資源を投入して、実現させる。つまりマネるためには、リサーチ・分析・発案・意思決定・資源分配・実行というプロセスが求められる。これだけの複合スキルを発揮できる企業や人材に対して、「ただマネが上手いだけ」とは言えないはずだ。
そのうえ、現在の中国企業はただのマネで終わらない。ただマネるだけでは、本家の劣化版で終わってしまい、競争に勝ち続けることは難しい。そうではなく、他社の優れた特長を自社に取り入れ、ビジネスの新たな組み合わせをつくることで、差別化を量産していっている。
その代表例が、マネが当たり前の中国国内でさえ「パクリすぎ」と非難されながらも、7兆円を超える時価総額に飛躍を遂げた美団点評(メイチュアン・ディアンピン)だ。
2019年、アメリカの経済誌『Fast Company』が発表した「世界で最も革新的な企業」でトップに選ばれたのが、中国ベンチャーの美団点評。同社のCEOの王興(ワン・シン)氏は、自身を「コピーの天才」と称する連続起業家である。
Facebookをコピーした「校内網(シャオネイワン)」、Twitterをコピーした「飯否(ファンフォウ)」に続き、グルーポンをコピーして始めたのが「美団」だった。当時、類似の競合サービスは中国国内に無数にいたが、美団はあらゆるクーポンサービスの特長をコピーして取り入れ、トップシェアを獲得した。
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