JR山田線、「震災4年で復旧工事」の舞台裏 JR東日本は、「山田線方式」を広げていくのか
岩手県の県都である盛岡駅から宮古駅までは東西を結び、宮古駅から釜石駅までは南北を結ぶJR山田線。このうち、宮古-釜石間は、まだ復旧していない。
全国屈指の閑散路線として知られるが、3月7日11時7分に盛岡駅を出発した2両編成の宮古行き「快速リアス」は、立ちどおしの乗客も多数出るほどの混雑ぶりだった。
ちょうど青春18きっぷのシーズンということもあり、乗客のほとんどが観光客。宮古駅で乗り換えて、三陸鉄道北リアス線に乗ることを楽しみにしているようだった。
ところが、車掌が「この列車に接続する三陸鉄道は1両編成という連絡がありました」と乗客に伝えると、車内は騒然となった。2両編成のリアスの乗客全員が1両の三陸鉄道に乗るとなると、大混雑は必至。宮古駅に到着すると、乗客はわれ先に三陸鉄道のホームへ急いだ。
そのころ、宮古駅の周辺には多くの鉄道、建設、行政関係者が集まっていた。東日本大震災の影響で4年にわたり運休を余儀なくされていた山田線の宮古―釜石間において、この日、復旧に向けた工事がようやく始まったのだ。
地元とJR東日本の調整は難航
被災した三陸沿岸を走る路線のうち、大船渡線と気仙沼線はJR東日本によってBRT(高速バス輸送システム)を活用した仮復旧が行われた。山田線についてもJR東日本からBRT導入が提案されたが、「宮古―釜石間は路線バスが1日11往復走っていることから、BRTを導入する意義は乏しい」(宮古市)として、地元はあくまで鉄路による復旧にこだわった。
BRTの導入が困難と判断したJR東日本は2014年1月、線路や施設を回復したうえで三陸鉄道に運営を移管する案を提示した。復旧費用210億円のうち、原状回復費用140億円はJR東日本が負担し、まちづくりや地盤のカサ上げなどに要する70億円は公的資金を活用して自治体が負担する。また、運行後の赤字を負担する意味合いで、5億円程度をJR東日本が一時金として支払うという内容だった。
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