JR山田線、「震災4年で復旧工事」の舞台裏 JR東日本は、「山田線方式」を広げていくのか
鉄路による復旧という点では地元の希望どおりだが、決して満額回答ではない。前述のとおり、山田線は全国屈指の閑散路線。ただでさえ経営の厳しい三陸鉄道が宮古―釜石間を引き継いだら、赤字額はさらに膨らむ。
とはいえ、JR東日本の提案が議論の足掛かりになったのは間違いない。ここから、鉄路による復旧を前提とした議論が始まった。昨年末には、JR東日本の支払う一時金が5億円から30億円に引き上げられ、さらに車両の無償譲渡、軌道の強化、人的支援を行うなど、JR東日本が大幅に譲歩する形でようやく決着を見た。地元の粘り勝ちである。
三陸鉄道にとっては、現在南北に分断されている路線に山田線が加わることで一本につながり、一体運営が可能になるというメリットがある。2カ所に分かれている運行指令所などの施設を一体化できれば、コスト削減にもつながる。
一方、山田線の運行に伴う赤字負担は、三陸鉄道の株主である岩手県や地元自治体に跳ね返る。利用者の拡大を少しでも支援するため、「三陸鉄道に接続する八戸線、釜石線、山田線(盛岡―宮古間)と連携して、観光客誘致に全力を挙げていく」と、JR東日本の冨田哲郎社長は意気込みを示す。
岩手県知事「山田線は特殊事例」
山田線の動向が決着した今、次なる課題は大船渡線と気仙沼線をどうするか、である。BRTはあくまでも仮復旧という位置づけだ。いずれ鉄路で復旧されるのであれば、山田線と同様、JR東日本が鉄路を復旧したうえで三陸鉄道に移管する可能性はあるのか。
冨田社長は「安全面の配慮やまちづくり計画との整合性、将来の利用者数などの問題がある。地元と幅広く議論を続けていきたい」と語るにとどめた。
同じ質問を向けられた達増拓也・岩手県知事は「じぇじぇじぇ、です」(NHKの朝ドラ「あまちゃん」で有名になった、驚きを表す方言)と前置きした後、「山田線はユニークなケースだと思う」と、大船渡線や気仙沼線への展開には否定的な見方を示した。
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