太陽電池製造装置ベンチャーのエヌ・ピー・シー、全員一致経営で先手打つ下町企業の実力

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 顧客数はおよそ150社。つまり、世界中のほぼすべての太陽電池メーカーと取引している。松山工場では連日、諸外国の国旗が掲げられる。海外からの顧客を迎え入れるためだ。進捗の確認や出荷前の立会検査などで、役員や技術者の来社が途絶えない。

エヌ・ピー・シーはなぜ、世界中から商談を求められるのか。その理由は、納入先に密着したニッチ戦略の徹底にある。

太陽電池市場が拡大する前の96年に、いち早く米国販社を設立した。次いで99年にはドイツにも進出。これらを橋頭堡に、太陽電池の最大消費国である欧米で、開発から設計、販売までの一貫サポート体制を構築した。これにより、顧客ニーズにきめ細かく応じることができる。

カスタマイズ能力が高いことも強みだ。多品種少量生産に適するとされるセル生産方式を採用し、シリコン素材の多結晶系や化合物を使用する薄膜系など、太陽電池の種類に応じて仕様変更することができる。

生産の仕組みも独特だ。一般的なセル生産方式は、固定された場所に必要数の部品を運び、そこで組み立てる。一方、エヌ・ピー・シーでは作業場が固定されていない。「架台」と呼ばれる金属基盤を空きスペースに臨機応変に動かし、その上でタブ供給部などの部品ユニットを2~3人の作業員が組み付けていく。納入先の工場に架台を設置して、作業に取り組むこともある。顧客のライン状況を見ながら柔軟に製造することが可能、というわけだ。

新興国メーカーの台頭 リーダー戦略への転換

そもそも、競合他社は多くない。エヌ・ピー・シーが特化するのは、太陽電池セルをつなぎ合わせてパネルにする、いわゆる「後工程」と呼ばれる分野の製造装置で、市場規模は300億~400億円程度にすぎない。セル自体を造る「前工程」の製造装置と比べると、その規模は10分の1にも満たない。

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