元官僚46歳「夏に稼ぐスキー場」を生んだ逆転人生 「100のテレビ番組で紹介」仕掛け人の大胆発想
白馬マウンテンハーバーは、開業した2018年10月からの1カ月間で、それまでのグリーンシーズントータルの来場者数を超える3万人を集客する結果につながりました。また、これまでに合計100ものテレビ番組で取り上げてもらいました。「隠れた資産」を活用することには、これほどの効果があるのです。
官僚からコンサル、そして白馬へ
実はこの「『隠れた資産』を有効活用せよ」というのは、私の前職である外資系コンサル会社ベイン・アンド・カンパニーで教わった戦略論の核心的要素の1つでした。
私はもともと、長野県とも白馬とも何の縁もない人間です。生まれも育ちも東京でしたが、旅行で訪れる地方の自然、田舎の風景が大好きで、いつしか「将来は日本の田舎を活性化する仕事につきたい」と思うようになっていました。
このため大学を卒業後、農林水産省のいわゆるキャリア官僚として社会人生活をスタートしました。しかし、いろいろと田舎の現状を知るにつれ、「農林水産業をはじめとした『ビジネス』が元気にならなければ、田舎は元気にならない」ことを痛感します。
しかし、法令や規則の整備、予算要求資料の作成、国会答弁の取りまとめといった「お役所仕事」をしているだけでは、ビジネスの知見は得られません。そこで、役人生活に8年で見切りをつけ、まずはビジネスの知見を深めることを目指して、戦略コンサルティング・ファームで働くことを決意しました。
転職先として選んだベイン・アンド・カンパニーは、世界的にも「三大戦略コンサル」の一角をなすアメリカ系の会社でした。
ベインでの業務は深夜残業も当たりまえ、結果につながる提案ができなければ無能の烙印を押される、といった非常にプレッシャーの強い毎日でしたが、「ビジネスの知見」をグングン吸収できている実感がありました。さらに自分の提案がクライアントの成果に直結するようになると、目の前の仕事がおもしろくなり、どんどんのめりこんでいきました。
一方、「田舎を元気にする」という当初の目標に関係する仕事はゼロになってしまいました。その反動で冬はスキー場に、夏は登山にと、毎週末のように出かけるようになるなかで、白馬と出会いました。
国内トップクラスに入るスキー場の規模。こぢんまりした雰囲気の良い街並みの裏に広がる北アルプスの圧倒的な山岳景観。「山岳リゾートとしてここよりもポテンシャルが高い場所は、国内にはないのではないか」と感じるようになります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら