獣医も実践「猫にかまれたら」急いですべきこと 「猫にかまれたら危険」と言われる納得の根拠

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1. 水道水を流しながら、傷口をよく洗う。診察の途中でもいったん中断して、洗面所で洗い流します。丁寧にじっくりと。貯めた水ではなく、流れている水で洗浄することが大切です。

2. 傷の周りを押し出すように、洗う。さっと洗うのではなく、傷口の辺りの病原体を押し出すようにイメージして傷を洗ってください。抑え込むなどはよくないです。

3. 近くに水道水がない場合は、ペットボトルのミネラルウォーターでもいいので、かけながら洗う。

4. 患部から血が止まらない場合は、洗い流した後に圧迫止血。飼い主が猫に手をかまれて圧迫失血しても止まらず、救急車を呼んだことがあります。救急隊員が、5分以上患部を押してくれたことで、事なきを得ました。血が止まらないときは、揉んだりせずに、ひたすら押すことが大切です。

症状が出たらすみやかに医療機関に受診を

痛いからといってよく洗わなかったり、絆創膏を貼りっぱなしにしておくのは不衛生なのでダメです。患部が「赤く腫れてきた」「熱っぽい」「かたくなっている」などの異変を感じたり、体がだるいなどの不調を感じたら早めに医療機関にかかりましょう。かみ傷の場合は外科を受診してください。何の動物にかまれたかを伝えることも重要です。

猫や犬にかむまれたらすぐに命が危険ということは少ないですが、病気になることもありえます。猫や犬を飼っている人は、できるだけかまれないようにするだけでなく、特に猫の場合、長い爪は切るなどして、トラブルにならないよう事前に予防しましょう。自らの健康や命を守るには、科学的に正しい知識を持っておくことが重要です。

石井 万寿美 まねき猫ホスピタル院長、獣医師、作家

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いしいますみ / Masumi Ishii

大阪市生まれ。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。『動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)』シリーズ、『ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)』など著書多数。シニア犬と暮らす。

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