獣医も実践「猫にかまれたら」急いですべきこと 「猫にかまれたら危険」と言われる納得の根拠

拡大
縮小

ズーノーシスの原因は、WHOが確認しているだけで、200種類以上あるといわれています。これには、生物テロで使われる炭疽菌やペスト菌なども含まれています。ズーノーシスでも、人間・動物双方とも重症になるもの、動物は無症状でも人間は重症化するもの、またその逆もあります。

今回はその中でも、日本でも猫や犬によって「かまれる」「ひっかかれる」ことで動物から人にうつる病気を紹介しましょう。

重症化する病気に注意

猫ひっかき病

症状:猫にかまれたり、ひっかかれたりして発症する病気です。病原体を持っている犬やノミから感染することもあります。バルトネラ菌(Bartonella henselae)が原因です。患部が赤く腫れたり、化膿したりします。発熱、痛みがあり、ひどい場合は、腋窩のリンパ節まで腫れます。まれに脳炎になり意識障害を起こします。

感染経路:犬、猫、保有菌を持っている猫を血を吸ったノミから感染することも。

パスツレラ症

症状:猫のほぼ100%、犬の約75%が口腔内常在菌としてパスツレラ菌を持っています。具体的には、P.multocida、P.canis、P.dagmatis、P.stomatis の4種類を犬や猫が保菌しています。主な症状は、皮膚の化膿です。最新の調査では、呼吸器系の疾患、骨髄炎や外耳炎などの局所感染症、敗血症や髄膜炎など全身重症感染症もあり、ひどい場合は、死亡に至った例も確認されています。

感染経路:犬、猫

カプノサイトファーガ感染症

症状:犬や猫の口腔内に常在している3種の細菌、C. canimorsus、C. canis、C. cynodegmiが原因です。発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などから始まり、ひどくなると、敗血症を起こし、死に至ることもあります。日本での報告は少ないです。

感染経路:犬、猫

では、実際にかまれてしまった場合はどうしたらいいでしょうか?筆者は仕事柄、猫によくかまれますが、そのときは、以下のことに気をつけています。

次ページまずは患部をよく洗うことが重要
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT