獣医も実践「猫にかまれたら」急いですべきこと 「猫にかまれたら危険」と言われる納得の根拠

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猫ではないのですが、フェレットにかまれて亡くなった警察官の例があります。

2019年に労災に当たる公務災害の認定を受けていたことがわかっています。詳しく見ていきますと、2002年にフェレットの捕獲作業中に手をかまれ、感染症の治療を続けていた警察官が、細菌に感染して炎症が広がる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と診断され、休職と復職を繰り返し、17年後に亡くなっています。死因を明らかにされていませんが、フェレットにかまれたことによるのでは、と推測されています。

誰でも猫にかまれて、亡くなるわけではないのですが、蜂窩織炎になると、亡くなる可能性が高くなります。蜂窩織炎は聞きなれない言葉ですが、皮膚の層構造の深いところから皮下脂肪にかけて細菌が感染した状態をこう呼びます。

この病気にかかると、患部は皮膚が赤く腫れて熱を帯び、触ると痛みを伴います。全身症状としては、発熱、寒気、関節痛やだるさなどがあります。蜂窩織炎の難しいところは、特別な検査はなく、医師の病歴聴取と身体診察と検査結果を組み合わせないと、診断に至らないことです(一般的に、血液検査では白血球やCRP(炎症を表す数値)が上昇しています)。

基礎疾患を持っている人は要注意

蜂窩織炎は、以下のような人がなりやすい傾向があります。

肥満やむくみがある人は、皮膚がパンパンに張っている状態なので、ちょっとしたことで傷がつきやすく、治りも悪くなります。具体的な病名は、糖尿病や慢性腎不全、慢性肝疾患、がんの人も浮腫(むくみ)ができやすいので蜂窩織炎のリスクが高いと言われています

このような基礎疾患を持っている人は、猫などのペットにかまれないように注意しないと、かまれたり、ひっかかれたりしたところから、蜂窩織炎になり命にかかわることがあるのです。

また、すぐに命の危険があるわけではありませんが、「動物由来感染症(ズーノーシス)」に感染する場合もあります。これは、人獣共通感染症と呼ばれることもあります。WHOでは「脊髄動物と人の間を自然な条件下で伝播する微生物による病気または感染症(動物などでは病気にならない場合もある)」と定義しています。簡単にいうと、動物から人に感染する病気です。

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