円の実質実効レートが1970以来52年ぶり低水準に 日銀の金融緩和や資源高による貿易赤字が背景に

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海外通貨に対する日本円の総合的な実力を示す実質実効為替レートが、過去最低水準になっている。日本銀行が大規模金融緩和を維持し、日本と海外の金利差が拡大していることや資源高による貿易赤字などが背景にある。

日本銀行が公表した9月の実質実効為替レートは57.95と、1970年9月の57.64以来の水準に低下した。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、実効レートが低水準に推移していることについて、「日本の購買力が落ちていることの現れの一つだ」と指摘。日本の物価が他国のように上昇していない中、内外金利差の拡大などによって円が独歩安になっていると説明した。低成長少子高齢化の国内に良い投資先がほとんどなく、家計や機関投資家の資金が海外に流出していることも要因の一つと言う。

半面、政府が原発再稼働でエネルギーの輸入を減らす動きや、海外からの投資妙味が増し製造業の拠点を日本に作る動きなどが増えれば、中長期的に実効ベースの円安が切り返す可能性につながるとも指摘した。

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著者:田村康剛

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