欧州が警戒「中国鉄道メーカー」信頼回復なるか 根強い不信感、市場参入へ巻き返しの策は?
しかし、気になる認証試験が順調に進んでいるのか否か、現在の状況について新たな情報は入ってこないため、本当に営業運転を開始できるのか、まだ不透明な状況である。いずれにせよ、認可を取得できなければヨーロッパ域内での営業運転はできないため、今後すぐの運用開始については懐疑的に見る向きもある。
前述の「中国鉄道メーカー、欧州で『車両契約解消』の衝撃」の記事で紹介したとおり、CRRCは欧州市場で大きな挫折を味わっている。チェコの民間鉄道会社LeoExpress(レオエクスプレス)と契約を結び、3編成を製造した新型電車「シリウス」は、遅々として進まない認証試験の状況から、ついにレオエクスプレス側がさじを投げ、一方的に契約を破棄されてしまったのだ。
嫁ぎ先を失ったシリウスは、試験センターの留置線に留め置かれていたが、9月に入って突如として認可を取得したというニュースが入り、ようやくチェコ国内の本線上へ出ることが許されることになった。はたして新たな嫁ぎ先が現れるのかが注目されるが、とにかく現状はようやくスタートラインに立てた、という状況といえよう。
「中国」への根強い不信感
だが、そもそもの問題として、CRRCはヨーロッパ市場進出への挑戦を開始してからすでに数年が経過しているものの、いまだに確かな成果を示すことができていない。少なくとも、本線上をまともに営業運転している車両が1両もないという状況は、世界シェア1位の企業からすれば屈辱的なことだ。
なぜこのような状況となっているのか。理由はいくつか考えられるが、その1つは中国に対する根強い不信感がヨーロッパ各国の人たちにあるという点だ。それは、中国という国そのものに対してはもちろんのこと、中国人や中国企業に対しても同様で、あからさまな差別にもつながっていると感じる。
今回のイノトランス会場でも、ある日本人来場者が何気なく車両の床下を覗いていたら、メーカースタッフが飛んできて、「お前は何人だ」と尋ねてきたという。身分証明書を見せ、日本人であることを説明すると、「日本人ならいい」と言われたというが、この例に限らず、こうした中国人に対する差別行為は今に始まったことではない。
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