和歌山電鉄から学ぶ「ローカル鉄道」再生の秘訣 両備ホールディングス小嶋会長インタビュー

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――和歌山電鉄は地方の鉄道としてどのようにして残していこうとしたのでしょうか。

利用客は通勤通学目的の人が多かったが、それだけでは必要なコストを賄えない状態だった。そこで、この路線は何のためにできたのかというところから地域分析を行った。

結果、もともとは神社参りのための路線であったが、戦後、神社参りの需要はなくなり、街が大きくなったことから生活路線と変わったことがわかった。しかし、生活路線としての需要も減っている中、観光誘発でフェーズを持ち上げればもともとの目的であった神社参りのための路線へ戻せると考えた。

また、別の切り口として、移動を目的とした鉄道ではなく、誰かが「あの電車に乗ってみたい」と思えるような乗ることを目的とした鉄道へ切り替えるということも行った。

根本から解決を

――今後、集客面で地方を走る鉄道をはじめとした公共交通に求められていることはなんでしょうか。

まず、競争政策となっている現行の道路運送法など公共交通に関する法律を変えること、次に地方のことは地方に任せようと国が地域公共交通における権限を移しているが、地方自治体の財政も厳しいため、公共交通を維持するための「交通目的税」などを設定すること、そして、乗っていただけない公共交通を維持することが目的でなく、いかにマイカー社会と共生しつつ公共交通利用を促進する運動にするかが求められる。

――根本的には国の方策が重要ということですね。

公共交通に乗ってもらうための施策をし、社会運動、国民運動にしなければならない。それも含め、国が公共交通に対する制度や財政の改革を行い、根の問題から解決する必要がある。現在は、中央集権国家となり国が地方を維持している構造であるため、もう一度明治維新の原点に立ち戻って、中央集権から本来の「地方自治」となるような改革を行ってもいいかもしれない。

小椋 將史 ライター

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おぐら・まさふみ / Masafumi Ogura

2000年静岡県生まれ、岡山県育ち。
岡山県立岡山朝日高等学校、高知大学人文社会科学部卒。現在、高知工科大学大学院在学中。高校時代から鉄道ファンイベントの運営に携わり、広報活動を実地で学ぶ。2019年には井原鉄道などとコラボした「#鉄路でつなぐ復興のみち」を主催し、NHKや毎日新聞など多数のメディアに取り上げられた。

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