「羽田新線」の議論で示された"不都合な真実" 空港アクセスのどこを改善すべきなのか
羽田空港発着列車の定員は1日約35万人だが、空港駅の乗車人員は同7万9000人。成田空港も空港発着列車の定員約14万人に対し、空港駅の乗車人員は3万2000人にすぎない。両空港とも輸送力は十分確保されている。
また、東京圏の夜間人口の61%は成田空港まで1時間30分以内に到達できる。羽田空港であれば、87%が1時間30分以内、47%が1時間以内に着くことができる。空港までのアクセスに長時間を要する割合は、それほど多くない。
そして資料の最後は、こう締めくくられていた。「鉄道整備を行う際には、既存ストックの有効活用の観点から、まずは既設路線の改良で対応することとし、それでもなお、課題に適切に応えられない場合に新規路線の整備の検討を行うべきである」――。空港アクセス線は現行で十分、と言わんばかりの内容だ。
むしろ、会議で多くの時間をかけて議論されたのは、鉄道やバスの24時間運行化、駅の案内サインやバリアフリーの改善といった点であった。新たな空港アクセス線を作るという案は消えてしまっただろうか。
どの提案も五輪に間に合わない!?
小委員会終了後に取材に応じた家田仁委員長(東京大学・政策研究大学院大学教授)は、「空港アクセス線については、もちろん検討を続けている。ただ、さまざまな提案が出ているため、今回は踏み込めなかった」と明かす。
鉄道事業者の間では、この日の小委員会の内容はある程度予想されていたようだ。「どの提案も2020年の東京オリンピックに間に合わないことがわかって、委員の間では『結論を急がなくてもいい』という雰囲気になっている」(鉄道会社幹部)。
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