スペイン「フリーゲージ列車」どんな仕組みなのか 日本仕様は?聞くと「相談してくれれば喜んで」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

タルゴの車両は、連結部に配置した車輪が左右で独立しており、車軸でつながっていない。一般的に鉄道車両は台車の上に車体を載せているが、タルゴ車両は車体全体を台車の“厚さ”の分低くして低重心化でき、安定したカーブの走行などに効果がある。

タルゴの連結面
左右の車輪が車軸でつながっていないのがタルゴ車両の特徴だ(筆者撮影)

その「左右の車輪が車軸でつながっていない」という仕組みを応用して、異なる2つの軌間で走れる「フリーゲージ車両」を実用化したわけだ。

そもそもタルゴが「軌間可変車両」、いわゆるフリーゲージ車両を造ってきたのは、スペインとポルトガルの線路幅(軌間)の問題がある。両国は「イベリアゲージ」と呼ばれる1668mm軌間を採用しており、ほかの欧州諸国の標準軌(1435mm)には直接乗り入れができない。それではスペインと欧州各国との行き来が不便だとして、古くから軌間可変車両の開発が進められた。その後、スペインも高速鉄道は標準軌で整備されることになり、両軌間の直通ができないとより不便となる背景も生まれた。

狭い軌間は難しい?

最初の軌間可変車両は1968年に登場。その後さまざまな改良が加えられ、同社エンジニアの説明によると「現在では営業運転で時速330km走行可能な技術レベルに到達している」という。

タルゴは標準軌(1435mm)、イベリアゲージ(1668mm)、ロシアゲージ(1520mm)の3つの軌間のうち、2つに対応できる組み合わせのものを生産している。軌間変換の際は、自動変換装置が取り付けられた建物に時速15kmで進入。ストッパーが外れて、車輪の変換装置(異なる軌間のレールがつながっている)に列車が入ると車輪が横に移動し軌間を変換。終了するとストッパーが再びかかって作業終了となる。この間、人の手はまったく不要だ。

もともとはスペインーフランス国境を越える直通列車用に登場した軌間可変式のタルゴは、今ではスペイン国内でも高速列車専用線と在来線の直通用に使われている。

ただ、今回タルゴがイノトランスで展示していたのは軌間可変式の車両ではなく、ドイツの標準軌向けの車両だった。

タルゴICE L
タルゴがイノトランスで展示したドイツ向けの車両。軌間可変式ではない(筆者撮影)
次ページ「困っているなら声かけてくれれば」
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事