「主治医に遠慮不要」セカンドオピニオンの受け方 どんな時に必要か「ポイント3つ」を医師が解説

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では、どんなときにセカンドオピニオンを受けたほうがよいのでしょうか?

①選択肢を1つしか提示されないとき

医師から治療法を1つしか提示されず、ほかの選択肢を示されない場合は、セカンドオピニオンを受けることを考えたほうがよいでしょう。普通に通院できるほどの体調であれば、治療の選択肢が1つということはないはずです。治療法の選択肢を複数用意して、その中で優先順位があることを伝え、どうして優先順位があるのかについてや、各治療法の良い点、悪い点を説明して、患者に選んでもらうことが、医師のすべきことです。

特に、それが標準治療ではない臨床試験段階の治療ならばなおさら、医師は患者に対して効果と安全性、リスクをていねいに説明して、納得して治療を受けてもらうようにしなければなりません。

研究的な治療法には要注意

もし、「あなたにはこれがいいから、この治療法にしなさい」と、標準治療ではない研究的な治療法を主治医から勧められた場合は要注意です。その医師は自分の開発している研究的治療が、標準治療より優れていると信じて疑わないのかもしれませんが、まだ試験結果が出ていない以上、自信があっても患者に強要することはできません。

患者さんも、主治医の機嫌を損なわないようにと気遣って、希望していない治療法を選択するのはよくありません。

②主治医が、どうしたらいいか迷っているようなとき

「あなたのがんは、この病院では治療経験に乏しい」と言われたならば、それは患者さんが少ない希少がんなのかもしれません。情報不足にならず、最適な治療を受けるために、できればあなたの患う希少がんを扱う医療機関、医師を探してセカンドオピニオンを受けてください。

しかし、患者さんにとっても医師にとっても、希少がんは最新の情報を集めることが難しいがんです。わが国で希少がんを最も多く扱っている国立がん研究センターには、希少がんセンターがあり、希少がんの患者さん、家族のための「希少がんホットライン」が設けられていますので、まず、こちらに相談するのもよいかもしれません。

希少がんでなく、肺がんや胃がんのような患者数が非常に多いがんでも、経過が特殊な場合には、その後はどのように治療したらよいか医師が迷うことがあると思います。主治医がどうしたらよいか迷っているときは、セカンドオピニオンを受けることを考えてください。

③標準治療以外の治療法に興味があるとき

日本の病院では、通常、がんの患者さんはがんの種類、進行状態に対して決められた標準治療を受けます。標準治療とは、前述しましたが、今までで一番優れていると確認されたチャンピオンである、現時点で最良の治療法です。

標準だから平凡というわけではありません。現在の標準治療よりも効果が高いと実証された治療法が登場すれば、それが新チャンピオンとして新しい標準治療となります。

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