JR只見線「11年ぶり」復活、地元住民たちの執念 利用者少なくても観光による「経済効果」大きい
これにより、只見線は復旧費用の3分の1が国庫負担となり、福島県と会津地方17市町村も3分の1の費用を負担し復旧工事が始まった。また、同法の改正では、経営収支を改善し復旧後の路線を長期にわたって持続的に運行することが交付基準に定められ、只見線の運行を持続するための計画書も提出された。
菅家衆議院議員は、「ハードルはかなり高かったが、鉄道を守りたいという地域の熱意を受けて執念を持って法改正に取り組んだ。これにより日本各地のローカル線を激甚災害から救う手立てができた」とこれまでを振り返る。
鉄道の維持管理体制は?
只見線会津川口―只見間27.6kmの維持管理は今後、福島県が担い、列車の運行のみをJR東日本が担当する。運行経費として福島県と会津17市町村が負担する年間約3億円の予算は、会津若松駅構内に新たに設置された県の只見線管理事務所が執行し、線路や駅舎の点検といった施設管理や、線路の除雪、倒木などのトラブル対応を実施。実際に作業を実施する業者については県による入札が行われ、道路管理に類似した仕組みにより鉄道の維持管理が行われる。また、只見線ポータルサイトの開設など集客に向けたソフト面での取り組みも実施されている。
福島県は運行経費の負担について周辺自治体の財政規模への配慮もみせた。例えば、会津川口駅のある金山町の一般会計予算額は約34億円で人口は約1800人。求められる金額は年間約1300万円で、これは約7億円の予算がある総務費から捻出される。金山町の総務費に占める運行経費の割合はわずか1.9%だ。
金山町ではさらに町独自の取り組みとして1300万円の予算を投じ、のぼり旗等の制作や町内団体への活動資金の補助のほか、只見線の撮影スポット整備を実施。只見町でも約1億3000万円の予算を投じ只見駅前の駐車場整備や只見駅構内へのギャラリー設置など、地域住民が只見線の活性化に向けての活動を行いやすい環境が整えられた。
JR東日本福島支店の担当者も「只見線の活性化や沿線振興の重要性については十分に理解をしているので県と同じ方向で取り組んでいきたい」と話す。
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