「キーボードをバンバン」職場の苛立つ人の扱い方 アドラー心理学では原因ではなく目的を考える

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「不機嫌になる」のは、「他人を遠ざけたい」という目的がある。「怒る」のは、「相手を思いどおりに動かしたい」という目的がある。「落ち込んでいる」のは、「他人に気づいてほしい」「もう少し注目してほしい」という目的がある。

「不機嫌」も「怒り」も「落ち込む」という感情も「目的」のためにつくられている。その感情を使って、なしとげたい「目的」は何か。

一度、職場の部下・メンバーの言動に対して、「この人は、どんな目的があるのだろう」と考えてみてはいかがでしょうか。原因を探すより、解決策を見つけやすくなるでしょう。

同僚にはイライラしがちでも、家では穏やかな人も

例えば、こんな場面に出くわしたことがありませんか。

チーム内で不機嫌そうに仕事していた部下の一人が、同僚のミスに声を荒らげて指摘していたちょうどそのときです。携帯に取引先から電話がかかってきました。そのとたん部下は、「いつもお世話になっています!」と元気よく、機嫌よさそうな声で応対します。

「同僚」が相手のときは不機嫌になる。

「取引先」が相手のときには元気に明るく接する。

このように「相手」によって行動や態度が変わるのです。アドラー心理学では、人間の行動には必ず「目的」があり「相手役」がいると考えます。人間は「特定の誰か」を想定して、行動していると考えるのです。

いつも仕事を急いでいて、イライラしがちな部下が、家庭では穏やかでおおらかということもありえます。「急いでいる」「イライラする」のは、「早く家に帰りたい」が目的だからです。

けれども、誰に対しても「急いでいて、イライラしがちになる」わけではありません。同じ環境であっても、相手が「取引先の人」であれば、とたんに「機嫌のよい人」にもなれるのです。

同じく、家に帰り、相手が「妻と子ども」だった場合には、「穏やかでゆっくり話す」のが普通だったりするのです。「相手」によって、人は「目的」が違うものです。そのため、「人によって態度を変える」ということが起きるのです。

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