「キーボードをバンバン」職場の苛立つ人の扱い方 アドラー心理学では原因ではなく目的を考える

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

リーダーになってみると、どうしても部下にイライラしてしまう、上司と部下の間に挟まれて「なんでわかってくれないんだ」と腹が立ってしまうなど、「怒り」という感情がわいてきてしまうことがあります。

それを相手に思わずぶつけてしまったり、あるいは、ぐっと我慢したとしても、なんとなく不機嫌オーラを職場で出してしまったりして、自己嫌悪につながる。そんな経験のある人もいるのではないでしょうか。

ただ、「部下」が相手のときだけ、イライラしやすい、不機嫌になりやすい人は注意が必要です。「怒り」は、相手役が「弱い立場」のときに向かいやすい傾向があるからです。親なら子、教師なら生徒、上司なら部下という具合です。

これが固定化すると、「一方が支配し、一方が支配される関係」になります。人間として健全で健康とはいえないので、修正したほうがいいでしょう。

怒りの目的を知る

しかし、「怒り」という感情そのものは、時々は、「それはそれでしかたがないときもある」と私は思っています。「怒り」が100%悪いもの、とも思っていません。

人間ですから、不機嫌になってしまうことも、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。

『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そんなとき、私は、「怒りの目的を知りましょう」とアドバイスします。

ここまでお話ししてきたように「怒り」には「目的」があり、そして「相手役」が存在します。よくある目的の1つが、「部下」を「思いどおりに動かしたい」という支配欲があげられます。あるいは「上司」に「自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という防御の目的があったりもします。

不満に思ったり、イライラしたり、カチンときたときは、それを誰かに出す前に次のように考えてみてください。

「怒りの相手役は誰で、何が目的なのか」

これだけでも、自分の感情が整理されて、無駄に怒りに振り回されることは少なくなります。

さらには、「目的」の底には、何の気持ちがあるのかを考えてみてください。「部下を思いどおりに動かしたい」の底には、「私は不安に思う」「私は心配だ」などの気持ちがあったりします。「上司に自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という目的の裏には、「私は悲しい」「私は失望した」などの気持ちがあったりするものです。

この心の底にある気持ちに自分で気づくと、その後の対応が違ってきます。職場や仕事のことで、つい、イライラしたり、カチンときたら、「その目的の底にある本当の私の気持ちは何なのか」を考える習慣をもってみてはどうでしょうか。

ただ、相手に怒っているだけで終わらず、自分の本当の気持ちに向き合い、気づくほうが有益で、建設的な習慣といえます。

岩井 俊憲 ヒューマン・ギルド代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いわい としのり / Toshinori Iwai

1947年、栃木県生まれ。早稲田大学卒業。1985年、有限会社 ヒューマン・ギルドを設立。代表取締役。中小企業診断士、上級教育カウンセラー、アドラー心理学カウンセリング指導者。ヒューマン・ギルドでカウンセリング、カウンセラー養成や公開講座を行うほか、企業・自治体・教育委員会・学校から招かれ、カウンセリング・マインド研修、勇気づけ研修、リーダーシップ研修や講演を行っている。「勇気の伝道師」をライフワークとしている。『人を育てるアドラー心理学』(青春出版社)ほか、著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事