「トリセツ・コールセンター」を軽視する人の盲点 リスキリングのための絶好の機会と捉えるべし

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こういった設定画面の操作に強くなることも、デジタルに対しての慣れや親しみを上げるコツです。また触っていくうちに新しい便利な機能などを見つけてスマホが使いやすくなってくると、段々「知らないボタンを触ってみると、良いことがある」という感覚に変わってきます。

特に職場で新しいクラウド製品などが導入され、書き込みをしなくてはいけない事態などになったときは、すごく緊張するのではないでしょうか。

僕も、Microsoft SharePointを初めて使った際、前週の議事録を誤って全部消してしまい、それから触るのが怖くなってしまった経験があります。

なぜそんなことになってしまったかというと、周囲のスタッフから、「SharePointもわからない、使えないおじさん」と見られるのが嫌で、見切り発車で触ってしまったことが原因でした。すぐに自分でSharePointの操作方法をオンラインで検索して調べて実際に触ってみて、わからないところは同僚に聞くようにしました。

繰り返しになりますが、僕たちが使うデジタルツールは、使い方が全部ネットに出ていますので、怖がる必要はありません。ただそれをいきなり読んでもわからない場合も多いので、その場合は必ず身近で気軽に質問しやすい人を見つけてください。

「自分がわからないことは、他にも分からない人がいる」

「答えは検索したらネット上にある」

と意識改革をすると、怖い気持ちは徐々に薄れていきます。

「怖い」から「楽しい」へ

デジタルに対する苦手意識が強い方は、「怖い」「面倒くさい」という気持ちが勝ってしまうのですが、デジタルが得意な方は、「楽しい」「便利」という見方をしているのではないかと思います。

『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』(日本能率協会マネジメントセンター)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ぜひリスキリングに取り組み、少しずつ小さな成功体験を重ねて、デジタルは便利で楽しいもの、という感覚にたどり着いていただけたらと思います。

会社の新規事業でデジタルサービスを立ち上げるとなった際には、消費者の「怖い」「面倒くさい」は大きなビジネスチャンスに化けるのです。不便なことを解消するサービスができると、みんなそのサービスを使うようになるからです。

ここまで述べてきたようなトラブルシューティングが不要なサービスや、複雑な説明書がいらない簡単なサービスを作り出すことが、ビジネスチャンスそのものなのです。

※本記事の一部は日経COMEMOの連載を抜粋・再編集しています。

後藤 宗明 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事  SkyHive Technologies 日本代表

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ごとう むねあき / Muneaki Goto

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士銀行(現みずほ銀行)を経て米国で起業。帰国後、米国のフィンテック企業の日本法人代表などを務めたのち、2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。「日本をリスキリング」するため、石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。

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