鹿児島から広島へ「九州&山陽」新幹線の乗り心地 800系と山陽―九州直通用N700系を比べると?

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始発駅のていねいな案内が4か国語で重ねられると、もう6分を経過している。やっと一息つくも束の間、駅間が比較的短い九州新幹線のことであるから、わずか2分を空けただけで川内到着の案内が流れてきた。今度は冒頭を九州のオリジナルチャイムが飾っている。トンネルを抜け出ると平野に水田が広がり、川内に到着する。鹿児島中央行きのホームは通勤客が列を成している。

しばし座席に身を預けて見回す。基本構造は今や山陽新幹線でしか見られない700系と同じである。しかし座席は自由席を含めて全車が左右とも2人掛けを配しており、余裕がある。基本はシンプルで、そこに個性的な造作の座席が並ぶ姿は、あれもこれも詰め込んだボリューム感より心地よいように思える。ただ、背板に厚みがないから1人だけで背を倒すと隣席との間に大きく隙間ができ、後方から丸見えになる嫌いはある。コンセントは前後端の妻壁に面した席のみで、それも時代の流れを感じる部分だ。

その一方、背板と同じ圧縮合板の肘掛は木の温もりを保ち続けている。もちろん小さなへこみ傷はあり、インアーム式テーブルも年季が入った感はあるが、心配された故意の傷は今も見ない。簾の日除けも変わらぬ繊細さだ。やはり800系は異色の新幹線電車である。新たに開業する西九州新幹線もJR九州内で完結する路線。N700S「かもめ」でどのような雰囲気を味わえるのか、興味が募る。

新八代からは平野を見渡しながら熊本へ進んだ。指定席は空いていたが、自由席からは大勢が降りた。

山陽・九州新幹線直通の「さくら」にはN700系

城壁の武者返しをモチーフにした高架駅正面玄関の壁に隣接して、新築されたアミュプラザが建っている。駅前広場の熊本市電電停との間に敷き詰めた真っ白なブロック舗装がまぶしく、熊本駅は姿を一新した。

「さくら」「みずほ」として山陽新幹線と九州新幹線を直通運行する8両編成青磁色のN700系 (厚狭ー新下関間、写真:久保田 敦)

熊本から乗った「さくら546号」は、山陽・九州両新幹線直通仕様8両編成のN700系。先頭形状は東海道・山陽新幹線の16両編成仕様と同じだが、有田の磁器をモチーフという青磁色や金帯がローカル色を出している。

放送はやはり車掌の声で始まり、新型コロナに関しては「私たち一人一人ができる対策を心掛け一日でも早く安心して生活できるように、みなさまのご理解とご協力をお願いします」と、語り掛けるような文言だった。九州で耳にする一文である。続く自動放送は熊本民謡「おてもやん」をフィーチャーしたチャイムで始まる。そして中国語まで一連の放送から間髪を入れず新玉名到着の案内に続いた。

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