チャールズ新国王「ひそかに築いた私財」の問題点 国民の生活苦で王室批判の温床に
イギリスの新国王チャールズ3世は、母の遺産を相続するはるか以前に自らの帝国を築き上げていた。9月10日に即位したチャールズ国王は、半世紀をかけて王室財産を10億ドルのポートフォリオ(運用資産)に発展させ、王室関連事業の稼ぎ頭に変えた。
エリザベス女王を上回る私財
母の女王エリザベス2世は自身の資産管理の大部分を代理人に任せていたが、チャールズ国王はコーンウォール公領と呼ばれる私有財産の発展に深く関与。専門の運用担当者を多数集め、過去10年間でポートフォリオの価値と利益をおよそ50%高めた。
コーンウォール公領は現在、「ジ・オーバル」という有名なクリケット場、イングランド南部の緑豊かな農地、海辺の貸し別荘、さらにロンドンに貸し事務所、郊外にスーパーマーケットの倉庫を所有している(公領とは、伝統的に公爵または公爵夫人によって統治されている領土だ)。13万エーカー(約5万3000ヘクタール)におよぶ同不動産ポートフォリオは、アメリカのシカゴと同程度の広さで、年間数百万ドルの賃貸収入をもたらしている。
コーンウォール公領というコングロマリット(複合企業)の保有資産は約14億ドルと評価されるのに対し、故女王の個人資産は約9億4900万ドルだった。これら2つの財産は、推定280億ドルとされる王室財産のごく一部にすぎない。さらに一族は個人資産を抱え、その価値は厚い秘密のベールに包まれている。
チャールズ国王は、亡き母のポートフォリオに加え、こうした知られざる個人資産の一部を受け継ぐことになる。国民は通常、約40%の相続税を納めなければならないのに対して、チャールズ国王は非課税だ。そして公領の支配権は長男のウィリアム王子に譲られ、法人税を払うことなく、さらに発展を続けていくことになる。