さらば日産マーチ!40年の歴史に幕を下ろす真相 本当になくなるのか、復活の可能性を考える

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eKクロスEV
三菱自動車のeKクロス EV(写真:三菱自動車工業)

それでも、登録車で5ナンバーのEVがほしいという人にとって、ノートe-Powerと別に、身近なEVという選択肢を求める声もあるのではないだろうか。私自身その思いがある。ノートには、3ナンバーのノートオーラを含め、e-Powerの代表車種としての特徴が定着している。そこで、マーチが5ナンバーのEVとしてあれば、再びマーチの歴史にひとつの成果をあげられるのではないかと思うのである。

日産は、三菱と合弁でNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)を設立し、魅力ある軽自動車を生み出してきた。その1台がEVのサクラであり、三菱「eKクロス EV」だ。NMKVの社名は、軽自動車専用との表現だが、登録車でもっとも小型のマーチを含め、三菱と共同で小型ハッチバックEVを開発し、製造してはどうだろう。

ミラージュとともにEVとしての活路は?

ミラージュ
三菱自動車のミラージュ(写真:三菱自動車工業)

三菱には、「ミラージュ」という小型ハッチバック車がある。だが、こちらもモデルチェンジの機会を逸しているといえる。そして三菱の経営の柱は、電動化とSUVであり、アウトランダーやエクリプス クロスなどに比べ、ミラージュは枠組みの外の印象だ。

しかし、電動化の枠組みのなかでEVミラージュを実現できれば、マーチ以上に長い44年の歴史を持つミラージュの未来も拓けるのではないか。

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サクラとeKクロス EVを見てわかるように、基本は同じであっても、商品性の違うEVを売り出したことで、それぞれに発売以来好調な受注を得ている。ならば、NMKVを活用してEVマーチとEVミラージュを企画することも、あながち荒唐無稽な話ではないのではないかと想像する。

SUVなどに比べ、販売台数で爆発的な数字はあげられないかもしれない。だが、サクラやeKクロス EVで身近なEVを感じている人たちに、5ナンバーで乗れるEVを提供する、さらに歴史もあり車名も通ったマーチとミラージュで実現できたら、待ち望んでいる消費者が相当数いるのではないかと期待している。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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