さらば日産マーチ!40年の歴史に幕を下ろす真相 本当になくなるのか、復活の可能性を考える

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2代目マーチ
1991~2002年に生産された2代目マーチ(K11型)(写真:日産自動車)

2代目マーチは、日産車としてはじめてCVT(ベルト式無段変速機)を採用した。外観の造形は初代と一転して、角型から丸みを帯びた姿にかわり、室内はコンパクトカーでも広々と感じられる空間を備えていた。それらによって、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。さらには、欧州のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞した。

派生として、室内空間の広さをさらに徹底追求した「キューブ」が生まれた。あるいは、日産社外の光岡自動車が「ビュート」のベース車として利用するなど、クルマの魅力を広げる役目も2代目は果たした。

初代キューブ
1998年に登場した初代キューブ(写真:日産自動車)

2002年の3代目は、フランス・ルノーとの提携を活かし、共通プラットフォームで開発され、操縦安定性が格段に向上した。外観の造形は再び一変し、ヘッドライトを強調した生き物のような顔つきが特徴となった。多彩な外装色を設定し、マーチの走る街を華やかにした。

3代目マーチ
2002年にデビューした3代目マーチ(K12型)(写真:日産自動車)

12年間も販売された4代目マーチ

リアビュー
4代目マーチのリアビュー(日産自動車)

そして4代目となるのが現行マーチだ。2010年から12年間にわたって販売された。この4代目マーチから生産がタイ工場となった。発売当初、品質に不満の出ることもあったが、一方で、NISMO仕様の高性能車が加えられ、5速マニュアルシフトでの運転を堪能させた。

NISMO仕様
NISMO仕様のマーチ(写真:日産自動車)

市場動向がSUV(スポーツ多目的車)人気となるなかで、マーチは次のモデルチェンジを摸索したのだろう。海外で販売されてきた「マイクラ(マーチの海外向け車名)」のほうが、先に2017年にモデルチェンジをし、3ナンバー車となった。しかし、国内で小型ハッチバック車のマーチが3ナンバーとなったのでは、消費者離れが起こるだろう。トヨタ「カローラ」が現行車まで3ナンバー化を待ったこととも通じる。

その間に、やや荷室容量の大きい「ノート」が、2016年にシリーズハイブリッドのe-POWERを追加発売して一気に人気を高めた。現行ノートは、すべてe-POWERに統一している。このノートe-POWER人気に、マーチはモデルチェンジの機会を逃したといえるかもしれない。そして発売から12年を経てしまったのである。

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