さらば日産マーチ!40年の歴史に幕を下ろす真相 本当になくなるのか、復活の可能性を考える

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ノート
全車e-POWERとした現行ノート(写真:日産自動車)

今年1~6月の販売実績を見ると、ノートが5万6948台で4位なのに対し、マーチは4560台で48位にとどまる。ノートの1割にも満たない数字である。なおかつ電気自動車(EV)のリーフでさえ6345台でマーチを上まわるほどだ。

ここに至り、マーチの終焉はやむを得ない状況となったのだろう。

K10型マーチ
初代にあたるK10型マーチのスケッチ(日産自動車)

それでもマーチの歴史を振り返れば、カー・オブ・ザ・イヤーの受賞を含め、欧州での高い評価、バブル経済の追い風はあったにしても派生車の誕生があり、モータースポーツ向けのRの存在やNISMO仕様のように、5ナンバーの小型ハッチバックで高性能車としての一端を味わえ、運転に没頭できる車種を設けるなど、魅力ある存在であったのは間違いない。歴代マーチを愛用してきた人たちにとって、ワゴン的な利便性はあってもノートとは違った小型ハッチバック車のよさを失う寂しさもあるだろう。

日産の中期経営計画のなかで、選択と集中の戦略が進められ、ここで注力されるのは、電動化、スポーツ、C/Dセグメントとされ、そこにマーチの入り込む余地はなさそうだ。

EV化という選択肢は残っていないのか?

サクラ
2022年にデビューしたEVの日産サクラ(写真:日産自動車)

それでも個人的な着想として、次のような形での復活があってもいいのではないかと思う。それは、EVのマーチという価値だ。

今、日産では、三菱自動車工業と共同開発した軽自動車のEVである「日産サクラ」が人気を呼んでいる。

現行の2代目リーフは、もっとも安価な車種であるXグレードでも370万円以上するのに対し、サクラは239万円から買える。登録車と軽自動車という差はあるが、130万円相当の安さは魅力だ。しかも、実際にサクラを運転してみれば、軽自動車であることを忘れる運転感覚や乗り心地なのである。

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