ドルがほぼ全ての通貨に対し上昇する中で、中国当局は過度の元安に抵抗しながらどこまで人民元の下落を容認すべきか見極める必要がある。
中国人民銀行(中央銀行)は9日、人民元の中心レートを1ドル=6.9098元と、予想平均の6.9484元より元高水準に設定。これで13営業日連続で予想より元高方向の中心レートとなった。本土市場の人民元は、毎営業日発表される中心レートから上下2%が1営業日の許容変動幅となっている。
人民元は2020年と19年に中国当局が元安阻止に動いた7.2元に急速に近づいている。現行水準から約4%安の地点だ。ストラテジストらは、7元までの元安進行は時間の問題だと想定。人民銀はここ数年、おおむね7元を重要な防衛ラインとみている。
ドル高に加え、中国輸出の勢いが不確実なことが、当局に元安容認の理由を与えている。ただ、行き過ぎた元安は金融や社会の不安定を招きかねず、10月半ば開幕の共産党大会を控えた微妙な時期だけに当局は難しい判断を迫られている。5年に一度開催される党大会では、習近平総書記(国家主席)が異例の3期目を目指す。
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中国当局がどこまで元安を容認するかは不明だが、これまでの対応を見る限り、元相場の方向ではなく元の変動ペースを重視しているようだ。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のジム・オニール上級顧問は「人民元が10元まで下げ、ユーロと円が対ドルで安定していれば、はるかに問題になるだろう」と指摘した上で、米連邦準備制度の政策引き締めで「ドルが全通貨に対して上昇している場合、中国にできることはそれほど多くはない」と述べた。
原題:China’s Pain Threshold on Weak Yuan Tested by Unstoppable Dollar、China Sets Stronger-Than-Expected Yuan Fixing for 13th Day (抜粋)
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著者:Sofia Horta e Costa、Tania Chen
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