「仕事中毒だと脳が老化する」脳科学者が言うワケ 「無趣味」は認知症発症につながる危険性がある

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そのほか、認知機能を上げるには、「部屋の室温」「ウォーキング以外の運動習慣」「スマホとの付き合い方」などいろいろな方法があります。

毎日ひとつ、何か新しいことをする

私の知人で、毎日ほんのちょっとのことでもいいので、「いままでやっていなかったことをやる」と自分に課している人がいます。大変なことのように思えますが、考え方次第で誰にでも取り組めることかなと思います。

たとえば、

・スーパーやコンビニで買ったことがないお菓子を買う
・家の近所でも通ったことがない道を通ってみる
・見たことがないテレビ番組を見てみる
・レストランでなかなか頼むことがないメニューを注文してみる

など、なんでもいいのです。

その知人の話を聞いて、この人は「脳にいい暮らし方」を知っているなと思いました。

私は常々、新しいことに取り組むことは脳にいいという話をクライアントにしていますが、それを習慣化することが簡単ではない人もいるようです。そういう人の話を聞いていると、「新しいこと」というのをちょっと大げさに考えすぎてしまっていることがあります。この知人のように、「ちょっとしたこと」で十分です。それだけで脳は変化します。

たとえば、散歩や通勤で歩いている人であれば、その道を毎日変えてみる。

図書館に行く、書店に行くという習慣をつけることも脳にいい行為です。

実は、読書の習慣がある人ほど健康寿命が長くなるという研究報告もあります。

『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「新しいこと」は、行動を変えるだけでなく、環境を変えることでもOKです。花やグリーンを部屋に飾ってみる、部屋の模様替えをする、寝る部屋を変えてみる、枕の位置を逆にしてみる……ちょっとしたことでいいので、ぜひ実践してみてください。

日々の生活習慣で脳の認知機能が大きく変わることをいくつかお伝えしましたが、今回紹介したこと以外にも「睡眠の質を高める、片足で立つ、手帳をつける、利き手と反対の手で作業する」など、変化するための方法が数えきれないほどあります。

いくつになっても、日々変化をおそれず、新しいことにチャレンジしてください。その気持ちが、あなたを脳の老化から遠ざけてくれるはずです。

西 剛志 脳科学者(工学博士)、分子生物学者

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にし たけゆき / Takeyuki Nishi

1975年宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで2万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計32万部を突破。https://nishi-takeyuki.com

 

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