「原油1バレル=再び100ドル超」の懸念は消えない 「景気低迷=低位で安定」という楽観論の死角

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原油価格は一時期に比べて落ち着いている。バイデン政権も中間選挙に向けて極めて神経質になっているはずだが、「この先も安定」と行くかどうかはわからない(写真:ブルームバーグ)

原油相場が一時期に比べて調整している。アメリカ経済の「リセッション」(景気後退)に対する懸念が高まっており、「経済活動の減速に伴って需要も減少する」との見方が、売りの背景にあることは間違いない。原油の国際指標であるNY市場のWTI原油先物価格は、8月16日には一時1バレル=85.73ドルと、1月26日以来の安値を更新。現在も100ドルにははるかに届かない状態が続いている。

「石油需要の減少に伴う原油相場の急落」といえば、新型コロナウイルスの感染爆発が始まった2020年春に、一時マイナスというとんでもない価格がついた相場展開が思い起こされる。さすがにマイナスはないだろうが、今後、一段の大幅な下落が見られるのだろうか。今回は足元の需給が一体どうなっているのかを改めて分析し、年末に向けてどのような相場展開になるのかを考えてみたい。

石油は生活必需品、基本的に毎年需要は増加

結論から言うと、今回については、例えば1バレル=80ドルをさらに割り込むなどの、これ以上の大幅な価格下落は、あまり心配する必要はない。需要は市場が懸念するほどに大きく落ち込む可能性は小さく、世界の需給がここから一段と緩み、新たな売りを呼び込むような展開は想定しにくい。今後は暖房需要期の到来に向けて、需給が再び逼迫する可能性のほうが高いのではないか。

アメリカの連邦制度準備理事会(FRB)をはじめ、世界の主要中銀が積極的に金融引き締めを進める中、景気がこの先一段と悪化する可能性は高い。現在のアメリカは統計上では2四半期連続でGDPがマイナスになっており、実態はさほど悪くない「テクニカルリセッション」状態とも言われているが、今後本格的な景気後退に陥ることも十分にありうる。

しかしながら、そうした状況下でも、石油需要の減少は限定的なものにとどまる、というのがその背景にある。実際、国際エネルギー機関(IEA)は8月11日に発表した月報で、2022年度の石油需要を日量9970万バレルと推定。これは前月から50万バレルの上方修正で、前年からは日量210万バレルの増加となる。発電などの需要で、価格高騰を続ける天然ガスからの需要のシフトが進むとの見方がその背景にある。

石油というのは生活必需品であり、人々が普通の生活を行い、経済活動が営まれる中では、基本的に需要は増えていくものである。もちろん、景気が悪くなれば、大幅な需要の増加というのは見られないかもしれない。

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