「長く勤めて、高給取り」古参幹部をどうすべきか 新たな組織作りを阻む障壁の乗り越え方を指南

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例えば、次のステップとして営業など専門分野や特定の領域に特化したスペシャリストより、営業も製造も理解し、部署間の横串も通しながら協業できるゼネラリストとなる人材の育成を目指しているとき、こうした古参幹部の考え方は大きなネックとなります。

古参幹部で悩ましいのが、仕事や会社には貢献しているものの、経営者の方針やカルチャーには賛同せず、「先代からの仕事のやり方や文化を守っていきたい」と考えていることです。こうした古参幹部たちをどうすべきなのかも課題の1つです。このとき、古参幹部に遠慮して、やりたい方法を続けさせてしまうと、部署間の壁ができてしまいます。

例えば製造部門を任せている古参幹部が、顧客が指定した納期を守らず、「うちはずっと品質重視でやってきたから多少は納期をずらしてもらうことが多い」と主張されて失注してしまうこともあります。

さらに、そんな古参幹部に賛同する社員も出てきます。いわば日本の悪しき風潮である派閥問題です。組織改革に反対する派閥ができてしまうと、先々とても厄介なことにもなりかねません。一部の社員にとどまればよいのですが、社内に経営者に対する反抗的な雰囲気ができてしまったり、大量に退職したりするリスクもあることは事前に知っておいたほうがいいでしょう。

また、給与に関する課題も出てきます。

もともと、先代経営者がなんとなく決めていたり、単純に年度ごとに一定額の昇給としていたりするなど、給与が制度によって決められていないケースもあります。しかし、トップダウンで先代経営者の指示どおりに動いてきた幹部の場合、先代がいなくなることで、実際には自ら指示をして現場を動かすことができていないケースもあります。長く勤めているだけという古参の社員たちの給料が高くなるのは、中小企業だけに限らず、日本全体の課題ともいえます。

組織づくりの課題「誤った3つの対応」

組織づくりの課題に対して、典型的な誤った対応が以下の3つとなります。

誤解① 自分についてくるよう幹部を辛抱強く説得する
誤解② 幹部を育てるために研修を実施する
誤解③ 社員全員に研修を受けさせたいと思う

まずは、経営者が自分の経営方針や自分がやりたいことを話します。

実行のためには、古参幹部の協力が必要であると考え、時間を割いて賢明に説得しようと試みます。しかし、先にも述べたように、先代経営者の頃から数十年にわたって培ってきた価値観や仕事観、カルチャーはそう簡単に変わるものではありません。また当の本人たちも変えようとは思わないため、話は平行線のまま、進むことはありません。

例えば、営業部門と製造・開発部門との間に溝がある企業の場合、全体最適に向けて営業と製造がいかに連携するかが重要となります。全体最適を目指すうえで経営者は、大きな方針を打ち出したいと思っているのですが、思うように古参幹部たちは動いてくれないのです。

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