鉄道断念、長万部―小樽間「並行在来線」の現状は? 廃線特需か、列車の中もホーム上も大混雑
一方で、ニセコ駅から乗車し小樽に向かうという地元在住の団体職員の20代女性は、「鉄道の維持に対して巨額の地元負担額が必要なのであればバスになっても仕方がない」という一方で「バスであまりも時間がかかりすぎるようであればクルマを使わざるを得ないが、運転中にスマホやパソコンでの作業ができなくなるのは困る」と話す。
1時間半ほどの乗車で倶知安駅へと到着した。倶知安駅ではホームを埋め尽くすほどの乗客が小樽行の到着を待っていた。
新幹線工事が進む倶知安駅
倶知安駅は、山線における主要駅だ。1986年までは太平洋側の伊達紋別駅を結ぶ胆振線が分岐。1985年までは1駅先の小沢駅から岩内線も分岐しており、倶知安機関区の蒸気機関車が山線のほか、胆振線や岩内線の列車の運行を担っていた時期もあった。
現在は新幹線新駅の建設の工事が進められており、在来線のホームは山側に移設され旧駅施設の解体工事が進む。倶知安町では、在来線の線路が駅前再開発の妨げになるという理由で、並行在来線の廃止前倒しの議論が進められようとしているが、新幹線工事に伴って移設された在来線の線路は駅前とは真逆でスペースにかなりの余裕がある山側であり、この主張についても無理がある。
また、駅南側の跨線橋が高架線として建設される新幹線工事の支障となることから撤去が必要となり、跨線橋の道路を地上に切り替えた際に、現行制度では新たに踏切を開設することができないということも理由に挙げられている。しかし、広島県ではいったん廃止された可部線の一部区間を復活開業させる際に踏切の新規開設を認めている。
一方で、新幹線開業による観光客の増加を見越して倶知安駅とニセコ地区を結ぶ新交通システム・モノレール構想が持ち上がるなど、北海道新幹線の延伸に関係した動きは違和感を覚えるものばかりで、道の政策はグランドビジョンを欠いた場当たり的な意思決定が繰り返されているような印象を抱かざるを得ない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら