鉄道断念、長万部―小樽間「並行在来線」の現状は? 廃線特需か、列車の中もホーム上も大混雑

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筆者は6月中旬のとある日曜日、長万部―小樽間を実際に乗車した。

乗車するのは長万部駅を13時29分に発車する倶知安行の普通列車。1日に4本の設定しかない長万部―倶知安間を直通する列車だ。倶知安駅には15時02分に到着。15時17分発の小樽行へと乗り換えて、小樽駅への到着は16時27分。140.2kmを3時間弱で走破する。

長万部駅の改札を抜けホームへと降り立つと3番のりばには13時37分に発車する函館行が、4番のりばには13時29分に発車する倶知安行が相対していた。函館行は老朽化による置き換えが進行中のキハ40形で、倶知安行は新型のH100形だ。

倶知安行の車内は、既に函館や札幌方面から到着した特急列車からの乗り換え客で混雑しており、大型のスーツケースを持った乗客も目立つ。筆者はどうにかボックス席を確保することができたが、列車は立ち席客が出るほどの乗客を乗せて長万部駅を発車するとすぐに室蘭本線と分かれ北海道内陸部へと進路を取った。保線の状態はかなりよく車内の揺れも少なく後志地方の田園地帯の中を時速70〜80kmで快走していく。

「新幹線ができるのに観光列車がない?」

車内では3人の乗客と同席することになった。一緒に乗り合わせたのは神奈川県在住の会社員の40代男性。そして、札幌市在住の歯科医師の60代男性ら2名だ。

神奈川県の男性は、「たまたま札幌への出張があり、JR北海道の在来線特急などが格安の1万2000円で乗り放題になる『HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス』を購入できたことから休日を有効活用するために札幌発着で1周できるルートだったので乗りに来た」と教えてくれた。

長万部―小樽間の廃止の方針が決定したことを話すと、神奈川県の男性は「新幹線ができるのに観光列車が走らないのか」と、北海道庁の対応についてはやや驚いていた様子だった。

札幌市の男性も周遊パスによる乗車で「北海道知事の鈴木直道氏がこのまま北海道を破壊するのではないか」という危機感を語る。「市長時代に鉄道の攻めの廃線を行った夕張市では、市所有のホテルやスキー場が中国系資本のペーパーカンパニーに格安で売却され、その後、倒産。夕張市の経済は崩壊し現在ではゴーストタウン化し街の荒廃が進んでいること」が理由とのことだ。

列車の混雑については廃線特需という見方ができる一方で、格安の6日間周遊パスの発売というキャンペーンでの需要の掘り起こしが一定の成果を出しているとも感じられ、道の「あらゆる手立てを講じたとしても大幅な収支状況の改善を見込めない」という主張はかなり無理があるように感じられた。

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