MLBより少年野球、NGTGは中小製造業投資に特化 買収会社を再び売却するPEファンドと一線を画す
日本の中小企業を取り巻く環境は厳しさが増しており、昨年に休廃業や解散した企業の代表者の年齢は70代以上が6割超を占めた。中小企業白書の22年度版では休廃業や解散の増加の一因には経営者の高齢化が考えられるとし、事業承継は「社会的な課題として認識されている」と指摘した。
こうした中で企業の事業承継を巡ってNGTG以外にも証券会社や金融機関が仲介をしたり、承継先の経営改善支援を担うYamatoさわかみ事業承継機構のような事業会社が介在したりするケースもある。
新居氏はINCJ退職後に1年半かけて世界中を巡り、日本のものづくりが世界中で尊敬されていることを肌で感じた。日本の中小製造業は技術を持っているものの、後継者不足・営業人員不足などもったいない状況にあり、それを改善したいという思いが会社設立の出発点だという。
新居氏が中小製造業の買収に着目した理由は、PEファンドが参入してこない領域で戦うことが得策と考えたからだ。「逆張り投資家という発想で皆がやらないことをやっている。野球で言うとMLBはすごく混んでいて勝つのが大変。じゃあどうするかというと小学校野球を探した方が早い」と話す。
「努力や汗は嫌い。イメージとしては楽勝とか圧勝が好き」とも言うが、買収先の発展のために汗をかくことはいとわない。19年にNGTGとして初めて買収した総合塑性加工メーカー、豊島製作所(埼玉県東松山市)では自ら社長を務め、会社の近くに部屋も借りて社員と共に改善に取り組んだ。
「フラットでやった方がみんな気持ちよく働けて、利益が出て企業価値が向上して、僕たちの持っている株式の価値も上がる。合理的だからやっている」と話す。
少しづつポジティブに
今年1月に新居氏から社長を引き継いだ豊島製作所の斉藤次男社長は、買収された当時は「ものづくりをしていない会社に譲り渡すとどうなってしまうのか」「半年後くらいには解雇されるのではないか」と不安ばかりが募ったという。
だが、原価の分析や報酬体系の見直し、全社共通のビジネス対話アプリ導入などの改革を通し、社員のNGTGに対する見方が少しずつポジティブになり、「そんなに時間がかからずに、ついていって大丈夫だと思うようになった」と明かす。
新居氏は「いろいろな会社を買収して事例をためることで、全体の経営が洗練されていく」と話す。24年の新規株式公開(IPO)を目指しており、将来的には大企業の買収も手掛けたいとも述べた。
株式非公開化などの提案を募っている東芝の買収合戦にも「参戦したくて仕方ない」と興味津々という。今はお金がないが、「僕らはダナハーのようになりますから。それくらい思わないとできない」と力を込めた。
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著者:古川有希、望月崇
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