売れない時代にモノが売れるファン作りの極意 新規の取り合いは苛烈極めるレッドオーシャン
和田: 2割ですか…。でもお客さまが100人いたら100人の方に好かれたいって思ってしまいますよね。企業でも個人でも。欲張りなんですけど(笑)。
さとなお: 全員に好かれたい嫌われたくない、そう思うのは当たり前のことです。でも、みんなに好かれようとするとみんなを失います。2割のファンの方たちが大切なんですね。そしてその方たちのライフタイムバリュー(LTV)が上がると、じわじわとですが売上は伸びていきます。
実際、100人集まってもファンになってくれるのは約20人くらい。少ないかなと思うかもしれないけれど、その20人のファンの方たちが長く継続して買ってくれたり、周囲の友人知人に勧めてくれるわけです。たとえば、企業側がファンのためのイベントなどを実施すると、そういう方たちは「きっとこの人も好きなんじゃないかな?」と自分の友人を連れてきてくれたりします。そうやって紹介のすそ野がどんどん広がっていくわけです。
和田: みんなに好かれなくていいんですね。本当にファンになってくれて、ずっとファンでい続けてくれる2割を大切にする。そもそも、どんなに人気のある人でも、全員には好かれませんもんね。「誰にでも好かれている人が嫌い」っていう人もいますもんね。
さとなお: そうですね。より多くの人に好かれよう、新規ファンを開拓しようと躍起になって次々に新しいイベントを仕掛けたりしていると、本当に大切にしたい2割の人が離れていってしまう。結果、安定した売上を築くことができなくなってしまいます。
和田: わかりやすく、お店とかで例えるとどうですか?
さとなお: あるラーメン屋さんがあったとして。「この絶妙な辛さがクセになるよね」と、常連になってくれる人が2割だとします。残り8割の人は「ちょっと辛すぎる」「自分の求めている味とは合わないかな」「悪くはないけど、常連になるほどでもないかも」という感じ。
なのでその8割を意識してしまって「もっと多くの人にうちのラーメンを好きになってもらって売上を上げたい!」と、味をマイルドに変えてみたら、今まで売上を支えていたファンが離れるわけです。8割の人たちも味を変えたからって常連として残るかどうかなんて誰もわかりませんよね。そうして売上が激減して閉店してしまった、みたいな。実は、こういうことは結構世の中で起こっているんです。
和田: なるほど。わかりやすい!