売れない時代にモノが売れるファン作りの極意 新規の取り合いは苛烈極めるレッドオーシャン

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さとなお: このお店には、絶妙に辛いラーメンを提供したいというメインコンセプトが元々あったと思います。そして、そのコンセプトに共感するファンができていた。だからそのまま、その味や考え方を好きになってくれた2割のファンを大切にし、その味を守っていったほうがよかった。そしてそのファンたちをもっと喜ばせるサービスなどをしていくと、ファンが友人とかに勧めてくれたり連れてきてくれたりするんです。間口を広げるか、コアなファンを大事にするか……。確かに、そのあたりの見極めは難しいです。でも、これからは後者を選択する時代だと思っています。

和田: 理由の最後の「類友」って、さとなおさんがよく言われている「口コミ」のことですか?

さとなお: はい、類は友を呼ぶ、の「類友」ですね。つまり同類のような友人ということです。口コミって昔からよく効くと言われてきているけど、それが、今ほど効く時代はないんです。ちゃんとデータでも出ています(下の図)。一番信頼できる情報源は家族や友人なんです。コロナ禍を経て、ファンがついているお店や商品は強いって、みんなが実感したんじゃないですかね? 

あれはファンが通ってくれるうえに、周りに口コミしてくれたりするからなんです。情報や商品が過剰に多いこの時代、みんな「家族や友人」からのお勧めを頼りにしています。

『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』P.59より

和田: でも、なんで情報通でもない、目利きでもない家族や友人が信頼されるんですか?

さとなお: それは、家族や友人は価値観が近い人だからです。価値観が近い家族や友人が愛用しているモノや大好きなコトは自分も気に入る可能性が高いですよね。和田さんもそうじゃないですか? 検索しても何を選んでいいかわからないし、広告も信用できない。そんな時代、価値観の近い友人(類友)が愛用しているものを勧められたりしたら、興味も湧くし買っちゃったりもしませんか?

和田: わかります! 価値観の近い人たちとはやっぱり使っているものも好きなものも似ています。共感だらけです。

さとなお: 人は同じ属性の相手に親近感を持ちやすいんですね。専門的にはホモフィリー(Homophily=同じような属性や価値観を持つ人とつながろうとする人間の傾向のこと。ソーシャルネットワーク研究の基本的な考えの1つで、同質性とも呼ばれています。)と言ったりします。「類は友を呼ぶ」「似たもの同士」っていうことですね。つまり「類友」です。情報も商品も過剰に多い今の時代、何を選んでいいか本当にわからないから、人は類友の選択を羅針盤にして商品などを選ぶんです。そのうえ、その類友が何かのファンだったら、ファンからの言葉は熱意を伴うので、より多くの影響を与えますよね。

ファンを大切にしたうえで新規獲得を

ファンに愛され、売れ続ける秘訣
『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

さとなお: もちろん、2割のファンの方たちだけを守っていけばいいという話ではないです。ただ、新規獲得ばかりに目がいってしまい、もともとのファンの方たちをないがしろにするのは、この時代的に本末転倒だと思いますし、ファンこそが新規を連れてきてくれるので、ファンを大切にすることこそが本筋だと思いますよ。ファンを大切にした上で、新規に目を向けられたらいいのではないでしょうか。

和田: 「とにかく新規!」「売上目標まであと○人!」ではないということですね。

さとなお: 「時代」のところでも述べたように、これから先、どんどんマーケットは縮むし高齢者は増えるし需要も減るんです。新規の取り合いは苛烈を極めると思いますよ。

和田: 企業側も「今月の目標、新規○人」みたいな姿勢はもうやめたほうがいいですね。

和田 裕美 株式会社HIROWA代表取締役

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わだ ひろみ / Hiromi Wada

作家、株式会社HIROWA代表取締役、京都光華女子大学客員教授。京都府生まれ。事務職を経て、外資系教育会社に入社し営業職に。お客様の98%から契約をもらう「ファンづくり」のスタイルを構築し、日本でトップ、世界142カ国中第2位の成績を収める。その後、独立し、“愛されて売れ続ける”人材を育成するコンサルタントとして、1300社以上、延べ34万人以上を送り出し、サポートし続ける。著書にベストセラー『成約率98%の秘訣』『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)など多数ある。公式サイト http://wadahiromi.com/

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佐藤尚之 株式会社ファンベースカンパニー創業者

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さとなお / Nao Sato

株式会社ファンベースカンパニー創業者、取締役会長。大阪芸術大学客員教授。助けあいジャパン代表。花火師。1961年東京都生まれ。㈱電通入社後、コピーライター、CM プランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し、㈱ツナグ設立。19年、㈱ファンベースカンパニー設立。著書は『明日の広告』『明日のコミュニケーション』(アスキー新書)ほか多数。

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