売れない時代にモノが売れるファン作りの極意 新規の取り合いは苛烈極めるレッドオーシャン
人口が減り、消費も減っていく中、あらゆるセールスは苦戦を強いられている。今の時代にモノを売るためには、これまでのように新規開拓を中心にするのではなく、「いかにファンをつくり、ファンを大切にするか」がポイントになるという。『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』より、新時代に適したセールススタイル=「ファンベース」について解説する。
新規顧客の売上はたったの7.5%
和田:早速ですが、さとなおさん、ファンベースって何ですか?
佐藤尚之(さとなお):ファンベースとはファンの方たちを何よりも大切にしてより幸せになってもらう関係を築きながら、中長期的に売上や価値を上げていくという考え方です。ではファンって何かというと、僕の定義するファンとは、企業やブランド、商品が大切にしている価値を支持してくれている方たちを意味します。
和田:すごく共感します。ファンベースって個人の営業にも必要なことですよね。
さとなお:そうですね。僕は個人の営業のことは詳しくはわからないけど、モノやサービスの存在やよさを伝えて、いずれはファンになってくださるお客さまと関係を築くことはとても大事です。ファンの方たちが売上を支えてくれるからです。
和田:ファンの方たちが売上を支える?
さとなお:そう、ファンベースが大切な理由として、3つ挙げられます。「売上」「時代」「類友」です。まずは「売上」から説明していきましょう。次のグラフは、ある有名な飲料ブランドの調査結果ですが、たった8%のコアファンの方たちが全体の売上45%を支えているでしょう?
コアファンはくり返し買ってくれているということなんですね。宣伝費を数億円かけて新規顧客に「飲んでみたい」と思わせても、そう思った人たちはたったの7.5%しか売上を支えていない。つまり1回は買ったけどそれでやめてしまったのでしょうね。でも、コアファンとファンの方たちはくり返し買ってくれて、全部で売上の89%を支えているということがわかります。これを一般化したものをパレートの法則と呼びます。
和田:「パレートの法則」についてよくお話しされていますよね。
さとなお:2割のファンが全体の売上の8割を支えているという経験則です。だから2割の人を大切にしていかなければいけない。