ロシア極東のLNGプラント「サハリン2」について、ロシアが設立した新会社に三井物産、三菱商事は出資継続の方針だ。生産物の取り分など権益は維持される見通しだが、そもそもプーチン政権の真意はどこにあるのか。
ロシア極東のLNG(液化天然ガス)プラント「サハリン2」をめぐって、ロシア政府が設立した新しい運営会社「サハリンスカヤ・エネルギヤ」に三井物産、三菱商事が継続して出資参画する方針が決まった。8月25日、松野博一官房長官は記者会見で「(両社が)正式に同意の意向を固めたことは承知している」と述べ、2社も事実関係を認めた。
三菱商事は8月25日午前、新会社株式の引き受けについて同意することを社内で決議し、9月4日の期限までにロシア側に同意書を提出する。「慎重な検討を重ね、総合的な観点から判断した。条件は今後確定する。ロシア側と交渉する」(三菱商事広報部)。三井物産も同様に出資継続の方針を固め、近く同意書をロシア側に提出する。
【2022年8月26日10時5分追記】初出時の三菱商事のコメントを修正しました
三井物産はこれまでサハリン2の運営会社「サハリンエナジー」に12.5%、三菱商事は10%出資してきた(ほかに英シェルが27.5%、露ガスプロムが50%超)。両社が新会社への参画を続けるか否かは、新会社から示される条件次第だった。
それが、生産物の取り分を規定する生産分与協定(PSA)を含む権利関係が維持される見通しになったことで、両社が新会社への参画方針を固めた。
権利・義務などはすべて新会社に移管
6月30日に発出された大統領令では、これまでサハリン2を運営してきた「サハリンエナジー」のすべての従業員、資産、権利・義務を新会社に移管するとされた。その後、8月2日に発令された政府令では、1994年に締結された生産物分与契約が尊重されなければならない旨が規定されている。
ある商社の関係者は、「8月5日の新会社設立から間もなく、法人登記、名称変更などの基本的な情報について通知は来ている。だが、PSAなど重要な契約条件を変更する通告はなかった」と話す。
新会社発足後、外国企業は1カ月以内に参画の意思を申請し、ロシア側が参画の可否を3日以内に判断することになっている。新会社は8月5日に登記されたため、三井物産、三菱商事は9月4日までに参画の有無を申請することになっていた。
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