ウクライナ戦争が始まった「2.24」以降、世界のエネルギー秩序は崩壊した。その余波は、「資源を持たざる国」日本にも襲いかかる。
「1カ月後に世界規模の核戦争に至るおそれさえある。すべてはクレムリン(ロシア大統領府)次第だ」
ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月。欧州復興開発銀行の初代総裁としてソ連崩壊後の東欧諸国の復興を主導した経済学者のジャック・アタリ氏がそう語るとおり、ウクライナでの戦争は長期化し、混迷を極めている。
戦争が始まった「2.24」後、世界のエネルギー情勢も一変した。需給が逼迫するとの懸念から、3月7日に原油先物価格は一時1バレル=140ドルに迫る水準まで急伸。同日、欧州の天然ガス価格(TTF)は、原油換算で400ドル超と過去最高の異常な値をつけた。
欧米諸国はロシアの戦費をそぐために、SWIFT(国際銀行間通信協会)決済網からのロシア排除や、ロシアからの化石燃料への依存度を下げる計画を相次いで表明。
すると、3月23日にプーチン大統領は「ロシア産天然ガスを購入する非友好国企業に対して、ルーブルでの支払いを求める」と表明。拒否した場合はガス供給を停止すると警告した。実際に、4月27日にはポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止した。
エスカレートするエネルギー戦争
ロシア(当時はソ連)は東西冷戦の時代にも西欧諸国にガスを供給し続けた。天然ガスを盾に取りEU(欧州連合)を脅すのは、第2次世界大戦後の歴史で初めてだ。プーチン大統領が引き起こした「エネルギー戦争」は、日増しにエスカレートしている。
今後のエネルギー情勢はどうなるのか。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら