侵攻後ロシアが日本中古車をこぞって求める事情 今年上半期の輸出額は前年同期の1.5倍に膨張

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2022年に入ってもその勢いは止まらない。今度は中古車に限って見ると、ロシアがウクライナに侵攻を開始した2月24日直後の3月、4月はやや落ち込んだものの、5月からやや盛り返し、6月は一気に1万7294台まで跳ね上がった(下グラフ参照)。1台当たり単価も、2月の73万4000円から6月は109万8000円へと急騰している。

1台当たり単価急騰の理由を探るべく、国内における中古車の流通事情を見てみよう。大手オークション会社USSの2023年3月期第1四半期決算資料によると、「部品不足により新車供給不足→下取り車が減少→中古車の流通台数が減少→需給が逼迫→オークション相場が高騰」という状況で、「1台当たり成約車両金額は2020年6月より25カ月連続で前年同期実績を上回る」となっている。実際、2022年7月の成約車両単価は115万9000円で、前年同期の92万2000円と比べ1.26倍に高騰している。

輸出額が跳ね上がった背景に、日本国内の中古車相場の高騰があるのは間違いない。国内で開催される中古車オークションには、ロシアの販売業者からオーダーを受けた業者や外国人(ロシア人など)が経営に絡んでいるとみられる業者が参加し、競り落として国内の港からウラジオストクへ輸出するというのが一般的だという。仕入れ価格の高騰が輸出額増加に結び付いているということだ。

ルーブル高がロシア側の購買力を高めた

ウクライナ侵攻後のロシア国内の経済状況で注目すべき点はルーブル高だ。侵攻直後こそ1ルーブル=0.73円付近まで下落したが、最近は1ルーブル=2.29円あたりまで高騰している。侵攻前の今年1月の水準よりも1.4倍ほど高い。日本国内の中古車価格高騰のあおりでロシア向け販売価格も高騰しているが、未曽有のルーブル高も販売増に貢献している。

一方、日本や欧米の大手メーカーの現地事業停止やロシア向け輸出ストップなどでロシア国内での外国車の新車流通が激減。しかも、ロシアの国産車製造も経済制裁に伴う自動車部品の輸入ストップなどで、生産台数が大幅に減少している。こうした事情が重なってロシア国内市場での中古車需要が高まり、品質の良い日本車人気が過熱しているとみられる。

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