ジム・ロジャーズ「米ドルは安全な通貨ではない」 アメリカは今後衰退の道を辿るかもしれない

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「しかし、ドルを売った後に何を買うかは日々考えさせられる。金や銀なのか、それとも人民元なのか、常に考えている。人民元は現時点ではなお閉ざされた通貨であり、すぐに基軸通貨になることは考えられない。共産党政府は、かれこれ15〜16年、人民元をオープンにすると言い続けているが、いっこうに実行されない。結局、現時点ではドルに代わる通貨が見つからないため、次の有事の際にはまだドル高が進行していくだろう」

現在、日本では1998年以来のドル高円安が進んでおり、含み益の出ている外貨建て保険などを解約して、円資産に戻す人も多いと聞きます。急激な円安が進んだことによって、約半年の間に円の価値はドルに対して約3割も低下しました。今回のこの経験から、いよいよ日本人も資産の一部をドル、金などに分散させる必要があると感じたのではないでしょうか。

ドルを売るタイミングはいつか

「ドルを売るタイミングとしては、過去の水準と比べることが大事だ。もし、ドルが過去最高値を更新したり、皆がドル投資について話していれば、バブルになっていると考えてよい」

日本人も、現在は肌感覚で過去の水準と比べてもドル高が進んでおり、いったんピークと見て密かにドル資産を円に換えている人もいるように感じます。その際に、対ドルだけではなく、対ユーロ、金なども見ることが重要です。今回はドルだけの強さが目立ちますが、他通貨とも比較することで、少しバブルになっていると気づくこともできるからです。

ロジャーズ氏は投資で成功するには「安いこと」と「変化に気づくこと」に尽きるとよく言います。安くてプラス変化が起きているものを見つけ出して買うことが重要です。

投資対象としての基準を満たしている候補が見つかれば、十分に調査をして、確信が持てたら慎重に購入するという手順が重要です。皆がアメリカ株やドルを買っているからという理由だけで投資をするということはないようにしましょう。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

花輪 陽子 ファイナンシャルプランナー

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はなわ ようこ / Yoko Hanawa

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者。外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、東京とシンガポールでセミナー講師など幅広い活動を行う。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書) 、『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。花輪陽子オフィシャルサイト 海外に住んでいる日本人のお金に関する悩みを解消するサイトも運営。まぐまぐ「花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編」も。

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