ニコンは反論も「一眼レフ開発から撤退」の必然 市場規模が縮小する中、主役はミラーレスへ
かつては一眼レフに画質で劣るとして、プロやハイアマチュアのカメラマンはミラーレスの使用に慎重だった。しかし、2013年にフルサイズと呼ばれる大型のイメージセンサーを搭載したミラーレス「α7」をソニーが投入して以降、プロもミラーレスの画質を評価するようになった。
その後、2017年にソニーが「α9」を発売。「α9」はピントを自動で合わせる速度などが一眼レフと遜色なく、プロもミラーレスを本格的に使い始めるきっかけとなった。以後、「プロは一眼」というスタンスをとっていたニコンやキヤノンもミラーレスの開発に本腰を入れる。
2020年にはキヤノンがミラーレスの最高級機種「EOS R5」を投入。キヤノンはその後もミラーレスの拡充を進め、2022年12月期の生産台数は、初めてミラーレス首位のソニーを上回る計画だ(テクノ・システム・リサーチ調べ)。
ミラーレスで出遅れたニコン
一方、ニコンはミラーレスで大幅に遅れをとった。2018年9月にミラーレスの高級機種を投入したものの、2019年のミラーレスシェアは5位とソニー、キヤノンに遠く及ばない。
ニコンの映像事業を率いる池上博敬常務執行役員は、「一眼レフとの食い合いを恐れたというより、電子ビューファインダーの性能や撮影枚数において、プロやハイアマチュアの顧客を満足させることができるか疑問だった」と2021年1月の東洋経済の取材で語っていた。
キヤノン歴40年余りのプロカメラマンは「ミラーの有無はカメラの性能に関係ない。キヤノンならキヤノン、ニコンならニコンというように、プロカメラマンの多くは、自分が長く使ってきたメーカーの中で、ミラーレスへの切り替えを進めている」と話す。
「ニコンが一眼レフで稼げる可能性はほぼない」(業界関係者)との見方も強い。現状、プロはまだ一眼レフの使用が多いため、利益率の高いプロ向けレンズの販売で稼げる。しかしそれは今後、ミラーレスにおいても同じくいえること。さらに、ミラーレスのほうが一眼レフより部品点数が少ないため生産コストも安い。「一眼レフの存在価値はなくなってきている」(同)。
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