「アキュラ撤退」明暗わかれる中国の高級車市場 欧米メーカー+新興メーカーのBEV戦略の中で

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メルセデス・ベンツを生産する北京ベンツ(ダイムラーと北京汽車の合弁会社)は、2021年末に車載電池を生産する新ラインを稼働させ、2022年6月には次世代BEVプラットフォームをベースにした「EQE」を同社400万台目の車両としてラインオフし、電動化戦略の加速を大いにアピールした。

同月23日には、BMWの中国合弁会社である華晨BMWが、iFACTORY生産基準を採用するスマート工場(瀋陽里達工場)の稼働を開始し、「3シリーズ」ベースとするEV「i3」などを生産する。BMWは、2023年末までに中国で13のBEVモデルを投入し、2025年末までには中国で新車販売の25%をBEVにする方針を示した。

BMWのBEV専用SUV「iX」(筆者撮影)

またその翌週、フォルクスワーゲン傘下のアウディは、中国第一汽車との合弁で年間15万台の生産能力を持つ新工場の建設をスタート。セダンの「A6 e-tron」やSUVの「Q6 e-tron」などを生産する予定となっている。

2021年に「Vorsprung 2030」戦略を打ち出したアウディは、2026年から「BEVのみを販売する」と宣言し、拡大する中国のBEV高級車市場に力を入れている。

キャデラックも初のBEV「Lyriq」を投入

2013年以降、キャデラックやボルボなどを含めた欧米ブランドが中国生産を開始し、それぞれの個性で消費者を魅了し、ファンを獲得している。しかし、GM(ゼネラルモーターズ)の上海合弁工場で生産するキャデラックは、コストパフォーマンスのよさから2018年には22.8万台に達したものの、その後は伸び悩んでおり、2022年1~6月の販売台数は5.5万台と、前年比50%減となった。

そこでGMは、2022年6月6日にキャデラック初となるBEVである「Lyriq」の受注を開始し、高級BEV市場での挽回を図ろうとしている。またボルボも、2020年に傘下の高級BEVブランド「ポールスター」の生産を中国で開始。富裕層をターゲットにする。

全車が輸入となるレクサスは、ハイブリット車(HEV)の低燃費効果と高い技術力を幅広い消費者層に訴求。

フラッグシップのレクサス「LS」(筆者撮影)

これにより、競争が激しい中国の高級車市場で好調を維持している。2021年の販売台数は22.6万台に達し、そのうちHEVが全体の3分の1を占めた。

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