トンネル入口で「祈願」、リニア新幹線の最新状況 多治見で着工、生物多様性問題は「道筋見えた」

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多治見のリニア新幹線安全祈願祭
岐阜県多治見市で行われたリニア中央新幹線第一中京圏トンネル「大針工区」の安全祈願式(記者撮影)
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岐阜県の南東に位置する多治見市は人口10万人。美濃焼の産地として知られるほか、名古屋から快速電車で約35分の距離にあることから名古屋のベッドタウンとしても栄える。

一時期「日本一暑い街」として話題を集めた。2007年8月16日に最高気温が40.9度に達し、それまで国内最高だった1933年7月25日に山形市で記録した40.8度を74年ぶりに更新した。その後は最高気温が41度を上回る都市が続出して、日本一の座は奪われたものの、だからといって多治見の気温が下がったわけではない。多治見は今も変わらず「暑い街」のままだ。

そんな多治見の街が、別の意味で「熱く」なりそうだ。JR東海が品川と名古屋を結ぶ各所で進めているリニア中央新幹線のトンネル建設工事。その1つがいよいよ多治見市内でも始まる。

祭壇の奥にトンネルが

2022年7月28日、快晴。この日も朝から気温がぐんぐん上昇する中、国道248号沿いにあるトンネル工事現場に50人を超える関係者らが集まった。工事が安全に終わるようにその土地の神様をお祀りする、工事の安全祈願式を行うためだ。

リニアは品川―名古屋間全長286kmのほとんどがトンネル。最も長いのは東京都内と神奈川県内の地下を走る全長36.9kmの第一首都圏トンネル。2番目が岐阜、愛知両県にまたがる第一中京圏トンネルで長さは34.2kmある。多治見市内で始まるこの工事はこの第一中京圏トンネルのうち、「大針工区」と呼ばれるもので全長約5kmの本線トンネルと全長約1kmの非常口トンネル(斜坑)から構成される。

安全祈願式が終了すると、直ちに斜坑掘削がスタートする。地盤は基本的には「岩」。このため山岳トンネルの工事で通常用いられる「NATM」という工法で工事が行われる。工事完了は2026年6月30日の予定だ。

会場に一歩足を踏み入れると、祭壇の奥にぽっかりと口を開けているトンネルが目を引いた。

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