フランス発「貧しい市民の革命運動」は広がるか 左派政治家メランションが挑む弱者救済の政治

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メランションが社会党を飛び出てつくった政党は「不服従のフランス」だが、メランションの動きは今後ヨーロッパの動きの台風の目になるかもしれない。それはたんに、フランス国内において影響力を持つ党派の中心というだけではない。メランションのラテンアメリカへの旅が示しているように、それはG7の首脳の動きと対立する動きであるからだ。

もはや西側は世界の中心ではない

アメリカとEU、そして日本の首脳は、西側の優位をこれまでどおり信じて疑わない。しかしヨーロッパでは、そうした西側の傲慢な挑発を懸念する声が次第に広まってきている。なんといってもロシアとウクライナの戦いに対する懸念である。早く停戦をという声も出始めている。もはや西側は世界の中心ではないことを知るべきだという声は、一般の民衆の中から出つつある。

例えばラテンアメリカ諸国は、これまでのアメリカ支配に対して次第に結束を強めつつある。メランションはそうした中、フランスの民衆の代表としてラテンアメリカに旅立ったのだが、その声が国家の政治に反映されるかどうか。反映されればラテンアメリカ、イスラム圏、中ロ、BRICSなどの非西側との、今のような対立ではない、平和な協調がやってくるかもしれない。期待したいものだ。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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