異常な円安をすぐ止めるにはどうすればいいのか 日銀が投機筋に打ち勝つ有効な計画を教えよう

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そこで、今回は世界へ日本の競馬産業をさらに売り込む、「サラブレッド界のジャパンウィーク」を7月に設定することを提案したい。この1週間(前後で3週間)は、世界中のホースマンが日本に集まる、という形をつくるのだ。

中心は、もちろん、セレクトセール。これは苫小牧。超一流の血統馬のセリ。前述のとおりだ。

夏の北海道を「世界の競馬の舞台」に

しかし、セリの世界でもう1つの主流のセリ市は「トレーニングセール」と呼ばれるものだ。これは、ある程度調教が進んだ馬(2歳馬が多い)をレーストラックで走らせて、それを入札者に見せて、オークションを行うのである。

これは、中小の生産者にとっては最大のチャンスである。なぜなら、生まれたての仔馬の場合は、骨格や雰囲気、歩様などで判断をすることもあるが、要は血統である。これは資本の力の勝負である。だから、勝ち目はない。

しかし、トレーニングレースなら、血統よりも実際の走りぶりで入札者は評価する。馬を優秀な競争馬に育てれば、高く売れて、中小の生産者には大きな収益になる。

アメリカでは、むしろトレーニングセールのほうが主流と言ってもいいぐらいだ(やはり欧州は血統。そしてインナーサークルだ)。日本でもトレーニングセールは複数行われており、5月末にHBAトレーニングセールが札幌競馬場で行われ、年々規模は拡大している(最も有名なトレーニングセール出身馬はモーリス)。

2歳馬なので、できれば5月のほうがよいのだが、ここは我慢して7月頭に移して、札幌競馬場でまず中央競馬向けの馬のトレーニングセールを行い、次に門別競馬場で地方競馬向けのトレーニングセールを行う。

これにより、もう1つの問題、JRAとNRA(地方競馬全国協会、いわゆる地方競馬)の統合的運用の進展にも貢献したい。JRAと地方の交流戦は、レースとしては年々盛んになっているが、競走馬の生産・売却の段階でも進めることが望ましい。何より、地方競馬向けの馬主・生産者の層が広がる。何より盛り上がる。

そして、これらのセリ市の合間に重賞レースを多数集結させ、レースも競馬場も北海道経済も盛り上げる。

スケジュールの一案は以下のとおりである。6月末または7月頭の平日。門別トレーニングセールを2日間。翌日は門別競馬場でダートの距離別などの重賞をまとめて5つ行う。JRAとNRAの交流戦だ。

そして迎える週末は、札幌競馬場で重賞ウィーク。例年夏に北海道で行われている札幌記念(距離2000メートル戦)、クイーンステークス(牝馬限定、距離1800メートル戦)に加え、1800メートル戦の牡馬向けの古馬重賞を新たに作って行う。さらに長距離の2600メートルの重賞も作る。この際、3歳向けのラジオNIKKEI賞(例年7月に開催)も福島から移して行う。「サマーダービー」だ。ダートの重賞は門別で、芝は札幌とする。

翌日の平日は、札幌競馬場でトレーニングセール。そして、その後にクライマックス、セレクトセールを苫小牧で行う。そして、迎える最後の週末は、函館競馬場で重賞ウィーク。函館2歳、函館記念、函館スプリント。
これらの前後には、海外関係者を中心に北海道の生産牧場を回るツアーを組む。富裕層は、観光もぜひしてもらう。

いまや、競馬産業こそ、アニメや漫画も超えて日本が圧倒的に世界一なのだ。それを世界に知らしめるために、「Japan Week in Hokkaido」を行う。社台グループ、JRA、NRAなどに是非検討していただきたく、提言する。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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