JR西日本が開拓、鉄道に続くもう1つの「高速網」 鉄道用光ファイバー活用、JR他社はどう動く?

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JRWONの山内崇社長は、「通信量は今後も間違いなく増える。当社の鉄道事業用の光ファイバーネットワークで世の中に貢献したい」と意気込む。

JR西日本光ネットワーク(JRWON)の山内崇社長。「IT業界ということでまず服装から変えた」と笑う(記者撮影)

もちろん、社会的意義だけが設立の理由ではない。新型コロナウイルスの感染拡大によってJR西日本の業績が大きく落ち込んだ。収益回復に向け新たな事業領域の育成にJR西日本は迫られている。

富士キメラ総研が2021年6月に発表した調査結果によれば、通信回線ビジネスの国内市場規模は2020年の1447億円(見込み)から2025年には2090億円と約1.4倍に拡大する見通し。新規参入の余地はあると判断した。

鉄道用光ファイバーは高品質

「鉄道事業用の光ファイバーはものすごくぜいたくな使われ方をしている」と山内社長は言う。従来使われていた銅線と比べ、光ファイバーを使った通信回線は同じ時間内にはるかに大容量のデータを送ることができる。

それだけではない。銅線から光ファイバーケーブルへの交換では、光ファイバーケーブルの価格そのものだけでなく作業に伴う人件費も重荷となる。そのため、「たとえば自動運転など、20〜30年後を見越して」光ファイバーを多めに設置することにした。その結果、高速道路にたとえると1分間に100台の自動車が走れるところ2〜3台しか走っていないようなものなのだという。このようにして外部に貸し出す余地が生まれたわけだ。

通信事業者の側から見ても「鉄道用の光ファイバーは品質が良い」と評価が高い。データ通信は距離が長くなるほど損失の可能性が増えるが、鉄道は都市間を直線性が高いルートで結んでいるため伝達距離が短くてすむ。加えて、新幹線の光ファイバーは鉄道事業用の管路に収容されているため耐災害性が非常に高いという。

JR西日本は現在も電気通信事業者向けに管路の貸付を行っている。であれば、光ファイバー芯線の貸し出しもJRWONではなくJR西日本がやればわかりやすいように思えるが、「子会社のほうが小回りは利く。決裁などのスピード感が断然違う」と山内社長は子会社で行うメリットを強調する。

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