カープの球団ホームページを見ると、「地域住民の皆様や、地元商店街などの催しもので、カープを応援・支援する目的で使用される場合や、公共機関が公共的な目的で使用される場合に限り、無償」との説明がある。
使える商標は球団名、球団ロゴ、球団旗、マスコットなど。ただ、使用を断る場合や、中止を求める場合もあるとし、「個人や企業などが、商品や広告宣伝物に使用されるなど、営利を目的として使用される場合には有償となります」という。また、事前に許可を得ることが必要で「球団に無断で使用された場合は、商標使用料等を請求させていただきます」との注意書きがある。
民間企業の広島電鉄の「カープ電車」は、自身の営業活動にあたってカープの商標を利用しているわけだが、そうなると商標使用は有償なのか。それとも無償なのか。鉄道ファンとカープファンであり、法律家でもある私は、そんなことを考えているうちに、そもそもカープ電車はどのように企画されているのかが気になった。
そこで広島電鉄本社と広島東洋カープの球団事務所へそれぞれ話を聞きに行くことにした。
カープ電車を毎年運行
広島電鉄地域交流事業課の諏訪正浩課長によると、カープとのコラボグッズについては商標使用の対価を支払っているが、カープ電車については球団との間で商標の無償使用を許諾されている。
カープ電車が運行を始めたのは2006年。超低床車両の5000形「グリーンムーバー」の5008号に装飾を施したのを皮切りに毎年運行。2019年からは5100形「グリーンムーバーマックス」の5104号が使用されている。
2016年以前は車両の内外装のデザインを1年ごとに変更していたが、2017年から外装は年ごとのキャッチフレーズの記載変更以外は大きく変えず、むしろ内装にこだわりを見せるという方針をとるようになった。
車内にはファンから集めた応援メッセージや、選手からのメッセージを掲出。QRコードを掲示して試合スケジュールを確認できるようにしている。2022年は選手会長の大瀬良大地投手が書いた「安心安全な公共交通を使ってカープを応援しに行こう」という直筆メッセージを同投手の写真と一緒にデザインした。
また、カープ電車では選手が肉声で電停案内をしている。このアイデアは諏訪課長の発案で「以前別の球場の周囲を走行しているバスの車内で、選手が肉声案内をしていたことにヒントを得た」という。現在は1号線の電停ごとに各選手が案内を担当している。
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