武富士への過払利息返還請求は90万人に達する可能性も、スポンサー候補の絞り込みは遅れる
3月4日、小畑弁護士は同月10日に予定していた最終入札を同22日に後ろ倒して、3月下旬から4月上旬には優先交渉権をどのスポンサー候補企業に与えるかを決定する、というえ新たな見通しを明らかにした。
武富士は、倒産直後に4000億円とされたローン債権額は、その後の金利引き直し計算などよって、10月末評価では750億円に圧縮されている。その後も規模が縮小し続けていることは間違いないし、そのなかには正常債権のみならず、償却済み債権、いわゆる不良債権も少なくないはずだ。
武富士の倒産は、厳しい経営環境に対応するために希望退職の募集などのリストラ策を継続的に実施して経営規模を縮小させた果ての衰弱死的な形態、というよりも、それらのリストラを経ずしての”突然死”に近かった。したがって、武富士には再生を期待する社員が相当数残っている。具体的に言えば、2月末現在の社員数は1677名だ。
この状況について、「大幅に縮小するローン債権規模と、社員数(人件費)が見合わない状況になっている」と大手消費者金融筋はみる。スポンサー候補企業の選定が遅れている背景にも、こうした事情に対して、スポンサー候補企業が姿勢を慎重化させているということがあるのではないか、という見方すら出始めているが、小畑弁護士は5社のスポンサー候補企業の姿勢には何ら変化はないと語っている。
無効となった利息収入の税支払いの是非も問題に
他方、今回の会社更生手続きの一環として、小畑弁護士は武富士が過去に支払った税金の還付請求を行う方針であることを明らかにした。これは、最高裁で否認された利息制限法の上限金利を超えた分、いわゆるみなし利息を利益として課税された部分の納税額に対する還付請求であり、「あくまでも更正手続きの一環。還付金は債権者への弁済に当てられる」と言う。