富山港線、万葉線…復活できた「地方鉄道」の特徴 旅客数を増やし、地域経済にも貢献している

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2006年に運行を開始した富山ライトレール(現・富山地方鉄道富山港線)は、運行頻度を高めたことと斬新な超低床車両が市民に受け入れられて、大きく旅客が増加した(写真:PIXTA)
人口減少や自家用車の利用による通勤・通学客の減少で、多くの地方鉄道が経営難にあえいでいる。しかし、旅客数を増やし、街の活性化にも貢献している地方鉄道もある。『鉄道会社はどう生き残るか』を上梓した佐藤信之氏は、地方都市圏でも鉄道は公共交通の主役になれると指摘する。

地方鉄道は施設の減価償却が済んでいる

鉄道事業を供給面から見ると、線路や信号機などの初期投資が大きく、開業後はその減価償却費や借入金の利子の支払いといった資本費が大きくなるという特徴がある。この資本費は固定的なもので、旅客が増えても総額は変わらない。ということは、旅客が増えれば増えるほど、旅客1人当たりの資本費は低下する。

また、旅客1人当たりの燃料消費量も、旅客が増えるほど減る。鉄道サービスのコストには、規模に対する逓減性があるのだ。これは、地球温暖化物質の排出量についても当てはまる。つまり鉄道事業は、旅客数が一定以上である場合に効率的に経営でき、地球環境にも優しいということだ。

旅客が多い大都市の鉄道や新幹線は、競合するほかの公共交通機関や自家用車と比べて、圧倒的に効率的である。それに対して、旅客が少ない地方鉄道は効率性が劣ることになる。

しかし現にある施設が償却済みであれば、大規模な更新や自然災害による被災がない限り、経常費用は切りつめた人件費や運行費、修繕費が中心となる。それなら、旅客1人当たりの費用が少なくて済む。

現在ルーラルな鉄道〈地方鉄道〉は、このような特殊な条件のもとで、経営が成立しているのである。

鉄道も企業という形態で経営される以上、独立採算が大前提だ。少なくとも、経常損益が黒字である必要がある。しかし、社会政策的な視点で社会的余剰(社会全体の便益)を最大化しようと考えるなら、経常黒字でなくても、可変費(変動費)を賄えるだけの営業収入があれば良い。

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